ウズベキスタン戦は森保監督のギャンブル成功 勝因は30代“オッサン4人組”

スポーツ

  • ブックマーク

Advertisement

勝負所を押さえていたベテラン

 アジアカップのグループリーグF組最終戦が1月17日にUAEのアル・アインで行われ、それまでグループ2位の日本は首位のウズベキスタンに2-1の逆転勝ちを収め、3連勝で首位突破を果たした。日本は1月21日の決勝トーナメント1回戦でEグループ2位のサウジアラビアと対戦する(現地時間15時・シャルジャ)。

 ***

 すでに2勝でグループリーグ突破を決めている両チーム。森保一監督は「できればすべての選手を使いたい。できるだけ多くの選手、いまできる(ケガをしていない)選手にプレーして欲しい」と試合前日に話した通り、オマーン戦からスタメン10人を入れ替えた。

 一方のウズベキスタンもトルクメニスタン戦から5人を入れ替えるなど、お互いに決勝トーナメント1回戦を見据えての采配となった。

 試合は前半40分にカウンターから失点したものの、3分後に武藤嘉紀のゴールで同点に追いつくと、後半13分には地元アル・アインでプレーする塩谷司が豪快な左足シュート。塩谷の代表初ゴールが決勝点となって日本は3連勝を収めた。

 正直、ベストメンバーで臨んだ2試合よりも、日本の戦いぶりには安定感があった。その原因の1つは、ボランチでコンビを組んだ32歳の青山敏弘と30歳の塩谷、31歳のCB槙野智章、30歳の左MF乾貴士ら要所要所をベテランが占めることでチームに落ち着きをもたらすと同時に、勝負の勘所を押さえていたからだろう。

 決勝点は後半13分、右SB室屋成のクロスはクリアされたものの(室屋は武藤の先制点もアシスト)、こぼれ球を塩谷が決めたものだが、その伏線は前半10分過ぎからあった。

 日本の攻撃陣はトリッキーなドリブルが得意な乾に、スピードに乗ったドリブル突破や相手DFの裏への飛び出しを得意とする伊東純也、武藤、北川航也のトリオだ。大迫勇也のようにポストプレーでボールを収めるよりも、前を向いたら果敢に勝負するタイプ。そんな彼らが本領を発揮するにはスペースが欲しい。

 そして日本はウズベキスタンの攻撃をストップすると、素早く前線のアタッカーにつないでカウンターを仕掛けた。後半9分に伊東がカウンターからドリブルで持ち込みペナルティーエリア外からシュート。これはGKの美技に阻まれたが、その後も11分に伊東、12分は乾、同じく12分に伊東が快足を飛ばしてウズベキスタンゴールに迫る。

 いずれのシーンも数的に同数か相手が1人多いくらいで、ウズベキスタン陣内には広大なスペースがあり、ボールを持った選手はドリブル突破はもちろん、パスの選択肢もあるくらい自由にプレーできた。

 ウズベキスタンはストライカーのショムロドフが23歳、エースのシディコフとシュクロフも22歳とチームの若返りを図っている最中だけに、経験不足の感は否めない。そして試合の流れが日本に傾きつつあるのにもかかわらず、ウズベキスタンはこれといった対策を講じられなかった。ここらあたりが、この試合の勝負の分かれ目と言える。

次ページ:“ギャンブル”に勝った森保監督

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。