「ひふみん」独占インタビュー 無冠「羽生善治」と躍進「藤井聡太」の今後を読む

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 昨年末に羽生善治九段(48)が無冠に転落し、2019年の棋界は新たな時代の幕開けか。昨今隆盛を極めるAIを用いた研究の是非、そして今年も“顔”となること必至の藤井聡太七段(16)の今後……。元旦に誕生日を迎え、八十路に王手をかける加藤一二三元名人(79)が、“ひふみん節”で大いに語る。

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――12月21日に行われた第31期竜王戦7番勝負第7局で、羽生九段は挑戦者の広瀬章人八段(32)に敗れた。対戦成績3勝4敗となり、防衛に失敗。タイトル獲得通算100期獲得もならなかった。

 私と羽生さんの出会いは、彼が18歳、たしか5段のときです。(1988年の)NHK杯で戦いまして、私が負けたんです。伝説の一戦と将棋ファンの間で語り草になっていまして、羽生さんはその年度のNHK杯で優勝したんですよ。それが彼の存在を世に知らしめたきっかけです。お、羽生というすごいのがいるぞ、とファンは気づいた。

 そういったこともあって、羽生さんとは結構戦っています。なんだかんだ話をしたり、いっしょに食事をしたりと、付き合いとしては現代の棋士の中で一番長いです。今回の竜王戦も、7番勝負の3対3になって最後の一番、無冠になるか100タイトル獲得かという状況で、羽生さんに勝ってほしいという心境でした。

 相手の広瀬さんというのはですね、たしか羽生さんとの竜王戦の前に他の棋戦で勝ってたんですね。それが大きいと思いますよ。ずっと以前、たしか8年前に王位のタイトルを獲っているんですよ(正確には2010年度の王位戦)。その時私はタイトル戦の立会もしているんですね。私が感心しておりますのは、王位を獲得したあたりには、振り飛車っていう作戦の達人だったんですよ。振り飛車を巧みに指しまして、王位を獲得するに至ったわけです。普通ならばずっと振り飛車を続けててもいいはずなんだけれども、ある時から得意の作戦を居飛車に切り替えたんです。それが成功して、今回の竜王獲得に至ったわけです。それを私は非常に高く評価しています。

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