NGT襲撃事件で考える 女性芸能人の「真面目」さとつらさ

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芸能界で「真面目」であることのつらさ

 山口の「真面目さ」が食い物にされた事件ではあるが、もうひとつ興味深いことがあった。今回の運営対応に対して苦言を呈した指原莉乃に対し、松本人志が「それはお得意の体を使ってなんとかしたら」と暗に枕営業を匂わせる発言をして批判を受けたことだ。Twitterでは、明らかなセクハラとなじる声が多かったように思うが、Yahoo!ニュースのコメントでは「松本は堅い雰囲気を和ませようとして軽口を叩いただけ。そんなに目くじらたてなくても」というコメントも散見され、頭を抱えてしまった。出た、真面目に語ると「堅苦しい」と糾弾される風潮。でもこの事件こそ、真面目に語らないとダメな案件ではないのか。まぜっかえす必要があるのだろうか。かつて美空ひばりは顔に塩酸をかけられ、吉永小百合は銃を持った男に自宅に踏み込まれた。いずれもファンの犯行である。彼女たちに対しても、同じように言えただろうか。それとも、被害の度合いや知名度が違うんだから、いちいち真面目に揚げ足をとるなんてつまんねえ奴、とでも言われるだろうか。

 とにもかくにも、真面目に対処した女性が憂き目にあい続けている一連の騒動。男性のセクハラは笑っていなすこと、それが女性のしなやかさであり成功への一手、とすすめる声もいまだ少なくない。昨年末は「平成最後」という枕詞がそこかしこで踊ったが、この手の問題こそ「平成で最後」にしないといけないのではないか。忖度なし、特例なし、誠実な態度。そんな真面目な姿勢を面倒くさがらず、芸能界が少しずつ評価してくれるようになるといいなと、真面目に思う。

(冨士海ネコ)

2019年1月18日掲載

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