日本人と韓国人は“双子の兄弟”“互いに劣等感”?元駐日韓国大使の発言に異議あり

国際 韓国・北朝鮮

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まず自国を学んでもらいたい

 柳氏によると「韓国と日本が分かり合えないのは、心の奥底で互いにコンプレックスを抱いているからだ」という。どういうコンプレックスかといえば、「韓国は『現代に日本に植民地にされた』こと。日本は『古代に朝鮮の方が先進国だった』こと」だという。そのコンプレックスのせいで正直に語り合えないとは暴論もいいところだ。

 日本が朝鮮と併合したのは1910年だが、それに先立つ16年前、日清戦争が起こった。この戦争の原因は下関条約第一条に明記してあるように「朝鮮国の独立を確認する」ことだった。それまで朝鮮半島は500年ほど中国の属国であり、黙っていれば中国領になること必至とみて、日本が中国に朝鮮の独立を認めさせたのである。しかし朝鮮は中国、ロシアどちらに転ぶかわからない。そこで合併ということになったが、韓国人は植民地にされたと言うが、実態は全くの併合(アネクセイション)だった。台湾の併合も全く同じ方式だったが、あらゆるインフラを日本仕様で、財政も同じ比重で傾けるというものである。

 朝鮮は500年ほど前にハングルを開発していたが、両班(貴族)が平民に文字はいらないとお蔵入りしていた。日本が持ち出して国民皆ハングル運動を起こした。教材、教科書も大量作成し、小学校が5200校、師範学校や高等学校が合せて1000校以上開校した。イギリスはインドを200年にわたって植民地化したが、小学校1つ作らなかった。植民地化と併合にはこれほどの差があるのだ。たった36年間の治世によって朝鮮半島の人口は2倍に増えて、24歳だった平均寿命は30年以上伸びた。

 柳氏が言うように「古代に朝鮮の方が先進国だった」わけがない。1000年昔の平安時代に紫式部の「源氏物語」、清少納言の「枕草子」が書かれた。世にはやったということは読書をする人が多かったことを物語る。

 日本が朝鮮を併合した時、奴隷が30%いた。幼児売春や幼児買売も禁止された。100キロだった鉄道が6000キロにもなった。日本の中世は恐らく欧州先進国並みだったろう。近代になってフランス画世界に浮世絵の手法が流れ込んだのも、芸術のレベルが同じようだったからだ。

 柳氏の自国に関する認識の無さに驚くが、まず自国を学んで貰いたい。返した借金を「まだ返せ」「また返せ」では世界に通用しないことをまず学んで貰いたい。

 日本もヨーロッパ諸国も封建時代、戦国時代が存在した。日本は100年間の戦国時代を経て250年間の江戸時代に入る。100年で武家の序列が決まったのち、参勤交代によって文化的統一をもたらした。韓国と中国に、国家の心棒がないのは封建時代が存在しなかったからだろう。

屋山太郎(政治評論家)

2019年1月12日掲載

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