お風呂で命を落とさないために… 意外な結果「ヒートショック予備軍」が多い県・少ない県ランキング

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 年間でおよそ1万9千人が入浴中の事故で命を落とす。掲載のチェックシートは、“浴室の死神”ヒートショックをおこしやすいポイントをまとめたものだ。東京都市大学人間科学部教授で温泉療法専門医の早坂信哉氏は「浴室と脱衣室を事前に温めておくこと。あと、お風呂の温度を40℃以下にしておくことと、お湯に入る前にかけ湯をするのも大事です」と語る。

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「チェックシート」で、チェック数が5個以上ある人はヒートショックになる可能性が高い「ヒートショック予備軍」。調査では、千葉県と宮崎県に予備軍が多く、長野県は少ない、との結果が出た。

「宮崎などの暖かい地域に予備軍が多いのは、油断している部分があるのでしょう。一方、予備軍が少なかった長野県は長寿で有名なだけあり、お風呂に関する知識を持っている方が多いのではないかと思います」

 と、早坂氏は言う。

「予備軍が少なかった北海道は、寒い地域だからこそ意識も高いということなのでしょう。やはり予備軍が少なかった山形県では、庄内保健所がかなり熱心にPRをしてきた。寒い山形では元々事故が多く、地元の先生方が啓発を行ってきたのではないかと考えています」

お風呂の“県民性”

 この調査では、湯船に浸かっている時間や、冬場のお湯の温度なども聞いている。その結果、日本で一番長風呂なのは千葉県だった。

「私は40℃で10分を推奨しています。お風呂に10分浸かっていると、体温が0・5℃くらい上がります。そうすると温熱効果など、お風呂に入ることによるメリットが十分に得られます。それ以上長く入っていると、体温が上がりすぎて浴室熱中症になってしまう危険性があります」(同)

 日本で最もお風呂の温度が高かったのは愛媛県。

「推測ですが愛媛県には道後温泉などがあり、温泉地の人は自宅でも比較的温度が高いお湯に入る傾向があるのかもしれません。3位の大分県も同じ理由です」

 と、早坂氏。ちなみに最も入浴時間が短いのは沖縄、愛媛両県だが、

「愛媛のように、熱い風呂に短時間入るのは、体も温まりませんし、血圧も上がるので良くない。42℃と40℃のお湯に入ってもらった場合、42℃のほうがすぐに体温がガーンと上がりますが、その後、急速に下がっていく。むしろ、40℃のお湯に入った人のほうがその後の体温が維持されるのです」

 ヒートショックに注意が必要なのは無論、自宅の風呂ばかりではない。

「サウナで気を付けたほうがいいのが水風呂。サウナは室内の温度が80℃以上あり、水風呂は20℃程度。温度差が60℃もあるわけです。交感神経は熱くても冷たくても刺激されますので、これはかなり血圧が上昇してしまいます。水風呂は基本的に止めたほうがいい。どうしてもというなら、かけ湯の要領で体の末端に水をかけるか、30℃くらいのぬるい風呂に入るのが良いと思います」(同)

 飲酒後の入浴がNGなのは先の「チェックシート」でも触れられているが、それは温泉でも同様。先の高橋氏によると、

「男性の高齢者の中には、かなり危険な入り方をする人がいる。お湯の温度は旅館が管理しているにもかかわらず、温度調整用の水を勝手に止める人。深夜、酒を飲んでから露天風呂に入る人などです」

 温泉で意識を失い、そのままプカリ、というケースはままあるようだから、“飲んだら入るな”を徹底したほうが良さそうだ。

週刊新潮 2018年12月6日号掲載

特集「なぜ毎年1万9千人も急死するのか!? 『浴室の死神』ヒートショックから逃れる10カ条」より

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