「金正恩」体制崩壊へのカウントダウン 治安悪化で刑法改正20回の異常事態

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金正恩も認める反体制勢力の存在

 2012年11月には、金正恩が全国の分駐所(警察署)所長会議出席者と人民保安省(警察)全体に送った祝賀文で、「革命の首脳部を狙う敵の卑劣な策動が心配される情勢の要求に合わせ、すべての人民保安事業を革命の首脳部死守戦に向かわせるべきだ」「動乱を起こそうと悪らつに策動する不純敵対分子、内に刀を隠して時を待つ者などを徹底して探し出し、容赦なく踏みつぶしてしまわなければならない」と発言した。これは事実上、金正恩が反体制勢力の存在を認めたことを意味する。

ヤミで出回る大量の携帯電話

 一般国民がインターネットを使用できない北朝鮮では、パソコンで接続したSNSによる情報の拡散は起きにくいが、携帯電話が400万台普及している。さらに、政府に登録していないヤミの携帯電話が大量に出回っている。

 携帯電話の普及により(盗聴はされているが)音声による情報交換が可能となった。ただし、基地局が少ないだろうから使用できる地域は限定されているだろう。とはいえ、ヤミの携帯電話のなかには、中国の電波を使用しているものもあるので、北朝鮮政府により携帯電話の電波が遮断されても、中朝国境地帯の人々は携帯電話を使用することができる。

 つまり、中朝国境地帯では国外へSNSを通じて北朝鮮国内の情報を拡散でき、逆に国外からの情報を得ることができるというわけだ。もちろん、こうした行為を北朝鮮は取り締まっているが、取り締まりが追い付いていないのが現状のようだ。

 1989年のベルリンの壁崩壊の要因のひとつとして、東ドイツでは言論統制が敷かれていたにもかかわらず、西ドイツのテレビを視聴することができていたことがある。つまり、東ドイツの市民は、自分たちの国で何が起きているのかを、国外からの情報で知っていたのだ。

 北朝鮮国民も国外からの情報(例えば、米議会が設立した北朝鮮向けの短波ラジオ放送、ラジオ・フリー・アジア)で、自分たちの国で起きていることを、ある程度は知っている。つまり、ラジオ放送の内容やSNSの情報をタイムリーに得ることができれば、国内の一部地域で反政府運動が起きていることを知った人々が、連鎖的に各地で反政府運動を起こす可能性があるのだ。

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