ブーム終焉「ビットコイン」で、それでもカモにされる“出川組”という人々

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 仮想通貨取引所の国内大手「コインチェック」が、XRP(リップル)とFCT(ファクトム)の入金・購入を11月26日より再開した。これで同取引所が取り扱う全銘柄が“復活”したことになる。今年1月の仮想通貨NEM(ネム)の事件以降、ほぼ営業休止状態だったコインチェックは、4月にマネックスグループに36億円で買収され、体制復活に努めてきた。だが、事件で失われた活気を、業界は未だ取り戻せていない。このまま仮想通貨は“オワコン化”一直線なのか? 専門家に話を聞いた。

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 昨年の初冬、世は仮想通貨バブルだった。ビットコインの価格高騰によって、いわゆる“億り人”なる長者が続々と誕生し、世を賑わせていたのは記憶に新しい。メディアはこぞって「まだ間に合う仮想通貨!」とあおり、投資知識のない若い女性や学生までもが市場に参入した。

 それからおよそ1年が経つ今、ビットコインの話題はすっかり鳴りをひそめ、12月6日には、36万円の値を付けて2018年の最安値を更新。仮想通貨は、現在どのような状態に陥っているのだろうか?

「去年の12月、ピーク時の1BTC(ビットコイン)価格は220万円。現在が40万円前後ですから、今振り返れば、いかにあの時、盛り上がっていたかがわかると思います」

 そう苦笑するのは、ビットコインの価格予想アプリ「ぴたコイン」を運営する株式会社Popshoot代表・大山敏浩氏(27)だ。経済誌「Forbes JAPAN」の次世代を担うイノベーター特集「30 UNDER 30 JAPAN」にも選ばれた大山氏は、そもそも去年の高騰が異常すぎた、とこれまでの動きを振り返る。

「去年の9月頃にチャイナショックがあって一度下落したビットコイン価格ですが、そこからまた2017年末にかけて徐々に高騰し、100万超えた、200万超えた……と話題に。コインチェックやビットフライヤーなど取引所のテレビCMが放映されたことで、大流行したのはご存知のとおりです。しかし、年が明けてからは徐々に価格が下がり始め、極めつけがコインチェックの一件でしたね」

 その“一件”とは、今年1月、不正アクセスにより国内大手の仮想通貨取引所であるコインチェックから、仮想通貨NEMが約580億円分流出した事件のこと。

 もともと仮想通貨に懐疑的な人も少なくなかったなか、コインチェックの一件で、その信用性は大きく損なわれ、大量の投資家が離脱する結果を招いた。現在の市場は「出川組」と呼ばれる人々が大量に離脱し、かろうじて残った「出川組」と古参投資家とで、パイを奪い合っているという。

「『出川組』とは、コインチェックのCM(出川哲朗[54]が出演)を見て参入したような新規組の人々のことを指します。要は仮想通貨投資の素人ですね。昨年末のバブルによって、知識がないままに参入して大損した『出川組』は、流出事件によってほぼ興味を無くした印象です。現在残っているのは、もともとお金を持っていて、かつ多少の損失を気にしないような大口のプレーヤーが主でしょう」

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