年の瀬に「2018年連続ドラマ」を振り返る ベスト&ワースト3を発表(前篇)

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そして2位

アナ では「2018年連ドラワースト3」、林さんの2位は?

林 ドゥルルル(以下略)、ワースト2位は7~9月期・フジ系・火曜夜9時の「健康で文化的な最低限度の生活」です!

アナ ああ、平均視聴率は5.8%で、2018年の民放プライムタイムの連ドラで最低を記録してしまった作品ですね。

林 「火9」枠は、フジ系といっても系列の関テレ(関西テレビ)の制作枠で、毎クールごとに電波と制作費の無駄遣いとしか言いようのない薄ら寒いドラマが送り出されてくるから、ワタシは「新品粗大ゴミ置き場」とか「お蔵入りドラマの覗き窓」と呼んでるんですが……

アナ 今の発言はカットになると思います。

林 そういう枠にも2017年には「僕たちがやりました」という快作が出たし、この「ケンカツ」も、原作の漫画が面白かったり、生活保護というテーマが世の流れに合ってたりで、「ひょっとしたら……」と期待してたんです。

アナ 憲法25条から引いてきた長いタイトルが目を引いたこともあって、確かに放送開始前は話題になっていました。

林 で、蓋が開いてみたら、勝手な期待はきっちり裏切ってもらえましたよ。主演の吉岡里帆や脇の田中圭、エンケン(遠藤憲一)あたりはそれなり以上の芝居をしていたものの、肝心の脚本や演出が毎度の関テレ「火9」クオリティーを死守するユルさ。1話30分にブッタ切って、今はなきフジ系平日午後の東海テレビ制作の昼ドラ枠に回したとしても見劣りするレベルだったなぁ。

アナ そこまで……。

林 ケースワーカー研修に使うビデオテキストに仕立て直して役所に売るビジネスモデルあっての作品なのか、あるいは、日本国憲法なんてたいしたもんじゃねぇだろホラというメッセージを込めての駄作制作プロジェクトなのか。そういう邪推ばかりが湧いて出てきて、作品の世界に没入できなかったドラマで、原作者にお見舞いを送りたいくらい。

――いよいよワースト1位だが、林センセイ、話が長くてここで予定時間は終了。次回はようやくワースト1位。

林操(はやし・みさお)
コラムニスト。1999~2009年に「新潮45」で、2000年から「週刊新潮」で、テレビ評「見ずにすませるワイドショー」を連載。テレビの凋落や芸能界の実態についての認知度上昇により使命は果たしたとしてセミリタイア中。

週刊新潮WEB取材班

2018年12月29日掲載

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