“急ごしらえプレゼン資料”に約1300万円支払い、NHK子会社は「正当」 本体の監督責任は

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GMS、NHKの回答は

 さて、GMSはどう答えるか。週刊新潮が、みずほオリンピックプロジェクトなるものにおける当該制作会社による「急ごしらえプレゼン資料」以外の成果物があるのか、つまり制作会社が1296万円相当の仕事をした根拠を示してほしいと質問すると、

〈SSSに伴う経費の処理は当社において適正に終了しています。(中略)当社が、SSSの赤字額を少なく見せるためにSSSの経費を他の業務の経費に付け替えたり、SSSに係る見積書を改ざんする必要性は皆無であり、かかる費用の付け替えや見積書の改ざんを行った事実は一切認識していません〉

 こう回答。1296万円相当の成果物を具体的に一切示すことなく、適正に経理処理したのだから付け替え等はない、要は「正しいのだから正しいのだ」という、説明にならない説明に終始したのだった。

 元NHK局員でメディアアナリストの鈴木祐司氏が解説する。

「海老沢勝二元会長も子会社のNHKエンタープライズからの返り咲き組でしたが、子会社や関連会社で頑張ると本体の要職に復帰できる目がある。ゆえに、NHKでは子会社の幹部が実績を残そうとして暴走する可能性が否定できません」

 また、GMSと連結決算であり、子会社の指導監督責任を負うNHK本体は、

〈グローバルメディアサービスが責任をもって対応すると聞いています〉(広報局)

 と、まるで他人事。

 放送ジャーナリストの小田桐誠氏が斬る。

「20年10月からの受信料値下げをようやく受け入れましたが、NHKの受信料収入は増えていますし、ネットでの同時配信計画など肥大化を続けていて、民業圧迫との声が上がっています。そうした環境下にあるからこそ、NHKには公共放送として一層襟を正した姿勢と透明性が求められる。もちろん、NHKは連結子会社の監督責任を負っているわけですから、厳正に調査し対処すべきです」

 GMSによるSSS疑惑。問われるNHKの信頼。こんな「親子」のために受信料を払っているのかと思うと……。受信料の負担義務を誰かに「付け替え」したくなる。

週刊新潮 2018年12月20日号掲載

特集「チコちゃんに叱られる! 『NHK』が放置する中核子会社の『東京五輪事業』赤字付け替え疑惑」より

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