“急ごしらえプレゼン資料”に約1300万円支払い、NHK子会社は「正当」 本体の監督責任は

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NHKが放置する中核子会社の「東京五輪事業」赤字付け替え疑惑(2/2)

 NHKの子会社、NHKグローバルメディアサービス(以下GMS)に噴出した赤字付け替え疑惑。2014年にスタートするも2年後に頓挫した東京五輪向け事業「Sports Social Studies(SSS)」をめぐるもので、その経費処理にあたり、本来の事業名目ではなく「みずほオリンピックプロジェクト」なる別の名目に付け替えた可能性が取り沙汰されるのだ。

 SSS事業を委託された「下請け」制作会社社長は、“GMSの担当者から、SSSとは関係のない「みずほ」のプレゼン資料を作るよう依頼された”“実質計100万円のその仕事に対し、計1296万円が支払われた”“支払いにあたっては、GMSの担当者から「SSSの経費も含まれている」と説明された”と証言する(前回参照)。

「GMS内部の人から、SSSの赤字は約1億円に達したと聞いています。GMSはこの赤字を糊塗するために、他の事業名目に付け替え、紛れ込ませたんだと思います」(制作会社社長)

 NHK本体に問い合わせるも、連絡はないという。

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 公認会計士で日大大学院准教授の丸森一寛氏はこう指摘する。

「SSS事業は全く利益を上げることなく頓挫したのですから、本来、通常の損失ではなく特別な事情で発生した『特別損失』として決算書に計上すべきものと言えます。しかし、特別損失という項目は決算書の中で非常に目立ち、株主などからきちんとした説明が求められることになるケースが多い。社内の派閥争いなど、外部に説明しにくい事情で事業計画が頓挫したために、他の事業に付け替え、特別損失になることを避けた可能性が考えられます」

 さらには、

「制作会社に支払われた約1300万円は経費、すなわち損金として計上されるべきものです。しかし、その実態がどんなに多く見積もっても100万円程度の仕事だったのであれば、差し引き約1200万円は損金ではなく制作会社への寄附金ということになる。本来は寄附金であるものを損金計上していた場合、所得の過少申告、粉飾決算にあたります」(同)

 なお16年度および17年度のGMSの決算書を見ても、特別損失は計上されていない……。

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