「下町ロケット」vs「ハラスメントゲーム」満足度分析 企業ドラマが女性にウケる時代

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ただし男と女で温度差

 先に紹介したように「テレビ視聴しつ」(eight社)が10月と11月に実施した満足度調査でも、「下町ロケット」は今クールのドラマの中ではトップクラスとなっている。ただしこの高数値は、主に男性からの支持による。キーワードは“熱”だ。

「毎回胸が熱くなる展開」(37歳男性)
「熱い気持ちになる」(17歳男性)
「ハラハラドキドキしながら見てます。阿部寛が熱い」(33歳男性)
「熱くなれる、とても好きな番組です」(45歳男性)

 ところが高評価の男性に対し、女性陣はやや距離をおいている。
「あつすぎる」(45歳女性)
「暑苦しいくらい熱い」(35歳女性)
一部の女性視聴者は、ついて行けてないようだ。

 さらに“池井戸潤原作×TBS日曜劇場”と言えば、「水戸黄門」のような勧善懲悪で、“愛すべきマンネリ”が特徴なのだが、ここにも厳しい目がむけられ始めている。

「いつも同じような内容で飽きてきた」(32歳女性)
「マンネリ化している」(36歳女性)
「感動の押し売り感が強すぎ」(64歳女性)

 さらに企業間の権謀術数や先端技術の優劣など、高度に専門的な話も課題か。ついて行けない視聴者もいる。

「一話逃すともういいやってなる」(28歳女性)
「内容が難しい」(47歳女性)
「物づくりの大変さが解るが、これでもかと難題が有りすぎて嫌だ」(76歳女性)

 こうした女性陣の指摘が、鉄板ドラマの視聴率に影響を及ぼしている可能性がある。
「半沢直樹」では平均28.7%・最高42.2%と絶好調だったが、同路線は徐々に数字を下げ始めている。今期の平均は、最終回を残して13%台。残念ながら最低で終わる可能性もある。

女性が支持する「ハラスメントゲーム」

 一方でテレ東ドラマBiz第3弾「ハラスメントゲーム」は、男性より女性の満足度が高い。特に10代と50歳以上が極めて高いのが特徴だ。

「スーパーの内情がよくわかり面白い」(69歳女性)
「身近に起こりうる問題で親身に感じられる」(59歳女性)
「なかなか身近な問題と思いながら見ている」(28歳女性)

 主演の唐沢寿明は、大手スーパー「マルオー」で、ある事情から地方に左遷された。
ところが数年後に社長直属の「コンプライアンス室」という社内の問題を解決していく部署に配属になり、様々なハラスメント事件を解決していく。社長との関係・取締役の派閥・下で働く社員たちの厳しい現実と日常がリアルに描かれているドラマだ。

「舞台が女性にも身近なスーパーであることに加え、女性パート社員の反乱や、女性管理職の苦悩がテーマの回もあり、硬派な枠・テーマでありながら女性から共感を得ることに成功している」と同調査を行った大石庸平室長は言う。

 それを証明するように、同枠前作の「ラストチャンス 再生請負人」と比べ、女性視聴者の数が45%も増加している。

「下町ロケット」が重厚感のあるドラマだとすれば、「ハラスメントゲーム」は軽快でスピーディな作品。

 またドラマBiz第1弾「ヘッドハンター」(主演・江口洋介)、第2弾「ラストチャンス 再生請負人」(主演・仲村トオル)は、硬派で渋いキャラクターが主人公だったが、今回はコミカルだが、主人公の唐沢は笑顔の裏に狂気を秘める“変人キャラ”。
「“ハラスメント”という社会性のある難しいテーマを、とっつきやすい“キャラクター・ドラマ”で見せる手法が女性視聴者に受け入れられた勝因」と、「視聴しつ」の大石室長。

 さらに同ドラマは、わかりやすい善悪をつけず、視聴者に考えさせる余韻も残す点でも「下町ロケット」とは真逆。女性を中心に新鮮に受け止められているようだ。

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