バロンドール「モドリッチ」のすごさの原点(前)(石田純一)

芸能2018年12月25日掲載

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石田純一の「これだけ言わせて!」 第16回

 フランス語で「黄金の球」を意味する「バロンドール」。もともと、ヨーロッパでプレーするサッカーの最優秀選手に贈られる賞で(今は全世界の選手が対象になっているが)、1956年にフランスのサッカー専門誌「フランス・フットボール」が創設して以来の長い歴史がある。これは、サッカーにおける最も象徴的と言っていい賞で、実際、FIFA(国際サッカー連盟)が制定する最優秀選手賞よりも、バロンドールのほうを獲りたいという選手が多いのだ。

 ただし、このバロンドール、2010年から15年の6年間は、FIFA最優秀選手賞と統合されていて、「FIFAバロンドール」となっていたが、16年からまた二つに分かれている。

 で、今年のバロンドールを受賞したのが、クロアチア代表のMF、ルカ・モドリッチ(33)である。08年から17年までの10年間、バロンドールはポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド(33)とアルゼンチン代表のリオネル・メッシ(31)が5度ずつ受賞し、2人による完全な独占状態だったのだが、そこにようやくモドリッチが割って入ったのだ。

 モドリッチの快進撃は尋常ではない。まず、今年のFIFAワールドカップ・ロシア大会でクロアチアは準優勝を遂げ、モドリッチは大会の最優秀選手に贈られる「ゴールデンボール賞」を受賞した。加えてFIFAの最優秀選手賞もモドリッチ。権威ある個人賞で3冠を達成してしまったのだ。

 そもそも、UEFA(欧州サッカー連盟)のチャンピオンズリーグ(CL)で、モドリッチが所属するレアル・マドリードは3連覇中だ。誤解している人もいるかもしれないが、ヨーロッパ最強のリーグであるCLは、ワールドカップを上回る世界最高峰のサッカーを見ることができる、ヨーロッパクラブチームの選手権だ。FCバルセロナを例に挙げるとわかりやすい。ここのFWにはブラジル代表のネイマール、ウルグアイ代表のスアレス、そしてメッシの3人が集まっていた、ネイマールは17年に移籍したが、要するに、ヨーロッパの有名クラブチームには南米の強国のエースがゾロゾロいるのだ。

 こうしたクラブチームは、所属する選手が年間を通して戦うので、各地から代表選手を寄せ集めて戦うワールドカップにくらべてアイディアが融合されやすい。だから、やっぱりクラブチーム同士の戦いがサッカーとしては一番面白い。

 また、同じクラブチームでもFIFAクラブワールドカップは、エリアごとに1チームしか出られず、ヨーロッパから出られるのも1チームだけ。だから16年に鹿島アントラーズが2位になることができ、メディアは「大健闘の2位」などと持ち上げるが、世界中のクラブチームを相手にした場合、僕の感覚では、鹿島アントラーズはせいぜい25位くらいではないだろうか。仮に鹿島がヨーロッパのチームに入ったら、残念ながら、予選突破はできないだろう。

 ともかく、そんな世界最高峰のリーグで3連覇中のチームを引っ張っているのが、モドリッチなのだ。その技術は神業に近く、クリエイティビティがあり、ゲームを作ることができれば、コントロールもできる。もう33歳なのに、無尽蔵のスタミナを駆使して献身的なプレーをしている。

 少し若いメッシは、最強のフォワードでスイッチが入ればすごいが、モドリッチのようには走らない。守備もやればうまいが、どちらかというと攻撃に専念している。では、モドリッチのプレーの原点はどこにあるのか。実は、それは内戦で焼け出された駐車場でのボール蹴りにあったのである。

 つづく

石田純一(いしだ・じゅんいち)
1954年生まれ。東京都出身。ドラマ・バラエティを中心に幅広く活動中。妻でプロゴルファーの東尾理子さんとの間には、12年に誕生した理汰郎くんと2人の女児がいる。元プロ野球選手の東尾修さんは義父にあたる。