「防衛大綱」に盛り込まれる深刻な自衛隊員不足 特に敬遠される海上自衛隊

社会 2018年12月17日掲載

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 この年末、政府が改訂する「防衛計画の大綱(防衛大綱)」には、地上配備型の弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」導入や護衛艦「いずも」に戦闘機を搭載する“空母化”構想も盛り込まれる。防衛予算は膨らむばかりだが、実は深刻な問題がある。それらを操る自衛官が足りないのだ。

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 外国人労働者の受け入れを拡大する「改正入管難民法」が成立した。

「深刻な人手不足に対応するため、即戦力になる外国人材を期限付きで受け入れる」

 と、安倍晋三首相(64)は言うのだが、人手不足は民間企業に限った話ではない。自衛官への志願者が減少しているという。

 今年3月末現在、陸海空合わせた自衛官の定数は24万7154人に対し、現員は22万6789人で充足率は91.8%。9割以上ならば、それほどでもないと思われるかもしれない。

 だが、幹部(92.6%)や准尉(93.7%)、曹(98.8%)と命ずる者はいても、それに従う兵(士)は73.7%しかいないのだ。

 防衛省は今年10月、自衛官候補生の採用年齢の上限を26歳から32歳に引き上げた。28年ぶりのことだ。だが、それで志願者が殺到することはない。採用年齢の引き上げに加え、定年年齢の引き上げ、女性自衛官の積極的登用、さらに「防衛大綱」には省人化を図るため無人化技術開発も盛り込まれるという。元自衛官は言う。

「防衛省がせっかく空母を作っても乗組員がいない、安倍首相が安保法制をまとめても海外派遣する兵がいない、なんて笑い話になっているそうです。朝日新聞などは『安保法制のせいで、志願者が減った』なんて記事にしていますが、安保法制の成立で辞めたなんて奴も聞いたことがありませんし、戦争に行くかもしれないから志願しないなんてこともないでしょう。そもそもそんな人間なら必要ないです。ただ、兵が足りないのは事実です。ですから、いわゆる契約社員である任期制自衛官の採用年齢を引き上げたわけです。しかし本来なら、採用年齢よりも待遇を引き上げるべきです。自衛官候補生を経て、2等陸・海・空士に任官しても月給16万7700円です。イージス・アショア2基で2352億円使うのだったら、隊員の待遇も考えてほしいですね」

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