「Koki,」をメインディッシュにした「工藤静香」ディナーショーの後味

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“工藤静香”というブランド

 MCで客席に年輩が多いことに触れた工藤は、「津軽海峡冬景色」の1番だけを披露した。大喜びする会場。“裏メニュー”の演歌がウケて上機嫌な彼女も、

「みなさん、一番の盛り上がり見せてませんか? 大丈夫ですか?」

 と、おどけながら、

「それでは、次に紹介する歌は、ちょっと手話を入れてみました。Koki,が書いてくれた『鋼の森』」

「おおー」という声と拍手に包まれる会場に、イントロが響く。短いながらも最高の演出だ。アーティストとしてのKoki,を、まさにメインディッシュとして饗したのである──。

 元ジャニーズJr.で作家の平本淳也氏は、現在の工藤をこう見ている。

「歌手として一流ですし、絵画も入賞する腕前。木村拓哉を夫に持ち、“工藤静香”というブランドを築いてきました」

 だから母娘の二人三脚においても、

「Koki,のアーティストとしての面をもっとアピールしたいのでしょう。と同時に、その存在を育てた自分も見せたい。娘の育て方なんて本を出すでもなく、娘の曲も何曲も歌わず効果的に使うのは、うまいと思います。Koki,をここまでプロデュースしてきた母親である彼女が、Koki,を利用できる唯一の人なのではないでしょうか」

 SMAP解散以降、影が薄くなったように映る父親に思いを致すと、いささか複雑な後味になるが。

週刊新潮 2018年12月13日号掲載

ワイド特集「色即是空の年忘れ」より

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