潜入取材「豊洲新市場」トラブルガイド 場内の飲食店からも“設計は最悪”の声が出るワケ

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「なんでこんなとこ、作ったんだろう」

 見学コースには、ターレに乗って記念撮影できるスポットがあれば、四季折々取引される魚の詳しい説明もあり、英語も併記されている。だが、市場というより工場見学のようで、魚がし横丁や飲食店街もショッピングモールのようだ。

 実際、3階からガラス越しに競りを覗く日本人夫婦は、「これだけ?」と戸惑いを隠さない。外国人観光客たちも悲しそうな表情を隠さず、持参した大きなカメラをほとんど使わない。訪日外国人に一番人気のスポットが築地だったことを思えば、インバウンドへの影響も心配になる。

 さる仲卸が、吐き捨てるように言った。

「なんでこんなとこ、作ったんだろう。この産直の時代、中央市場とか意味ないでしょ。実際に荷主は、本当にいいものはじかに取引してて、ここで取引されるのは、5番手から6番手くらいの魚なんだよ。我々仲卸は、そういうのを買って2割から3割の利益を乗せて、ブランドに乗っかって売ってるだけなんだよ」

 その言葉には少々ルサンチマンを感じないでもないが、築地から豊洲に移って、そのブランド力も暴落の危機にある。実際、この新市場の将来に希望を抱く人がどれだけいるのだろう。なにはともあれ、我々はせいぜい、トラベルならぬトラブルを楽しむとするか。

週刊新潮 2018年10月25日号掲載

特集「潜入取材! 冷凍マグロが解けだした! すでに『ゴキブリ』大繁殖!! 来場客は知らない『豊洲新市場』のトラブルガイド」より

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