「100円ショップ」戦国時代 勝ち組“下請け企業”の商品戦略とは

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 今や100円ショップの商品は、安いだけでは売れない時代だ。高度なデザイン性や機能性を備えた商品が立ち並び、ダイソー、セリア、キャンドゥ、ワッツをはじめ、各社はしのぎを削っている。その実動部隊を担っているのが、商品を提供する「下請け」企業だ。いかに安く、高品質でバズる商品を作れるかが、業界全体の景況にかかわってくる。そこで、“勝ち組”下請け企業の特徴について、企業戦略分析の専門家・青山烈士氏に聞いた。

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 100円ショップが「安物買いの銭失い」と言われていたのも今は昔。近年はSNSを中心に、100円で買えるフォトジェニックな雑貨やファッションアイテム、コスパのいいコスメ商品などが話題になることも増えた。

 大手ショップ各社が戦国時代を迎えるなか、下請け企業の生存競争も熾烈を極めている。100円ショップで売られている商品は、大半がメイドインチャイナかと思いきや、日本メーカーも多数関わっているようだ。

「店にもよりますが、100円ショップの商品は、海外製と国内製が半々ぐらいの比率です。なかでもプラスチック製品は、生産・物流の小回りが効く国内製が多く、海外製品は中国製とベトナム製が多いですね。ちなみに、100円ショップの下請け企業として売上を伸ばしているエコー金属(日用品、雑貨の卸)の仕入元の比率は、国内4割、海外6割です」(青山氏)

 100円ショップの下請け企業といえば、2014年に負債額30億円以上を抱え、自己破産した井上工業(サンリオなどのキャラクター商品を扱う製造業)が有名だ。同社はセリア、キャンドゥ、ワッツなど大手各社に納品しており、業界最大手ショップの大創産業(ダイソー)向けにいたっては売上の過半を占めていた。

 当時の報道によれば、井上工業が倒産した理由の一つは、“100円ショップへの即納対応のために見込み生産が常態化し在庫が膨らみ、資金繰りが逼迫した”からとあった。100円ショップに限らず、大手販売店に納品している下請け企業が、無茶なスケジュールを組まされたり、買い叩かれることはよくある話だ。

 しかし、青山氏は、井上工業が倒産した背景には、別な事情があると推察する。

「井上工業の件は、在庫の適正管理ができていなかったという自己責任の問題もあり、一概に100円ショップのせいとは言い切れないのではないでしょうか。大口顧客に依存する体質になってしまうと、過去の実績ばかりに固執して生産数を決めてしまったり、予測の精度が鈍っていくものです」

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