実姉の遺言は“葬式に入れるな!” 「渡辺博道」復興相の30億円「骨肉裁判」

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見舞いにも来ない

 記事から16年。渡辺氏は連続当選を重ね、大臣にまでなった。一方の長姉は10年ほど前に世を去っているが、

「姉は最後まで、博道を許さないまま逝きましたよ」

 と言うのは、渡辺氏の12歳年上の次姉(81)である。

「亡くなる前、姉は松戸駅近くの病院に入院していましたが、ちょうどその時期、選挙があり、博道はその近くでも演説していました。でも、見舞いにも来ませんでしたから、声が耳に入る度に姉は複雑な思いを抱いていたようで、ご主人に“私が死んでも、弟を葬式に入れないでくれ!”との遺言を伝えていました。だから博道は葬儀に来ましたが、親族の席に入れてもらえず、一般席で参列したんです」

 かく言う次姉も、渡辺氏との間で、裁判を抱えた過去を持つ。

「借金に不可解な点があるので、04年の父の死後、遺産の扱いを巡って裁判を起こしました。7年かかって最高裁までいって負けましたが、その間、博道は一度も姿を現しませんでしたね」

 2人の姉と訴訟沙汰……どちらの主張が正しいのかは別にして、実姉とすら関係が保てない、渡辺氏の度量の小ささが浮き彫りになる。よくもまあ、これで当選を重ねてこられたものだ。

 さらに、前出の本誌の記事には、見逃せないもう一つの論点も。記事では、長姉の証言に基づいて、渡辺氏が、妻と2人の子どもを、自分の父親と養子縁組させていることが暴露されている。彼自身、当時の取材に、「養子縁組? そうですよ。相続対策としてやったんですよ」と認めている通り、父の遺産の法定相続人の数を増やし、基礎控除額をかさ増しさせていたワケだが、これすなわち、法の抜け穴を探すがごとき行為。富裕層にはままあることとはいえ、立法府の一員、かつ税金の使途を議決する身でありながら、他方でこのような「税金対策」を行うとは、順法精神に欠けたその姿勢に違和感を禁じえないのである。

 当の渡辺氏に改めてこれらの点を問い直してみたが、代わって秘書が、

「お姉さんや家族とは仲良くやってますよ。みなさんと良好です。そんなことばっかりやってるから三流週刊誌になるんだよ!」

 と捲し立てた。この期に及んで見え透いた嘘を吐くとは、まさに三流事務所の体である。

 養子縁組についても、

「そういうことがあったんだろうけど、別に法律に触れる話じゃないでしょ」

 と開き直る。

 問題の所在がわかっていない辺り、まったく始末に困るのだ。

 次姉が改めて言う。

「裁判以来、弟とは没交渉です。一言電話でもくれれば、すべて水に流せるのですが、彼の気持ちが変わるとは思えない。私も姉も、弟とは年が離れていますから、小さい頃は母親代わりに可愛がってきたのにね……」

 家族の崩壊の物語。

 しかし、実の姉との関係すら復旧できない男に、被災地の「復興」など任せられるのだろうか。

週刊新潮 2018年10月18日号掲載

特集「地雷だらけの『安倍新内閣』」より

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