協賛は1118社! 若年性パーキンソン病の「カリスマ社長」が映画「熱狂宣言」で見せる生き様

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「松村厚久という男を通して、成功と喜び、そして絶望……、全部を包括した人間の人生を炙り出せればと思って撮っています。しかし、いきなり我々がカメラを構えて、ハイどうぞと自分を出せる人間はいないから、普段から松村さんの側にいる社員にもカメラを持たせて、1年間、ひたすら撮影しました。『これは松村さんの観察映画なので、キタキツネを撮影するように、何でもいいから撮って』と言ってね。だから、本当にどうでもいいシーンも膨大だった。映画にできるかどうかの交渉段階から撮っているから、ボクも映っている。松村さんの体調によっては、何を言っているのかも聞き取れない。テロップを入れたほうがいいという声もあった。でも、この映画は、ストーリーもナレーションもない。彼に接している気持ちで、いろんなことを感じてもらえたら、成功だと思っている」

 とは、「熱狂宣言」を企画・監督した奥山和由氏(63)である。

 映画製作資金を投資家から調達し、興行成績に応じて配当する“映画ファンド”を、「226」(松竹富士/1989年/五社英雄監督)のプロデューサーとして日本で初めて導入した奥山氏だが、今回は宣伝協力として協賛企業を募った。

 協賛企業は何をやるかといえば、社内の受付や営業所へのポスター掲示、QRコード付き名刺サイズの宣伝カードを社員や会員向けに配布、社内報や会報誌での作品紹介といったもの。具体的には、楽天は販売物にチラシを同梱、UCCフーヅは映画オリジナルドリップコーヒー「朝の熱狂宣言」を8000袋配布……といった具合。

「8月中旬から募集をかけたので、こちらはすでに撮り終えている。だから、お金を集めるのが目的じゃありません。各企業に宣伝してもらおうという手法。1社に100人の社員がいたとして、100社集まれば1万人、1000社集まれば10万人に伝えられるわけです。宣伝費に換算したら数千万円になる……計算上はね。どのくらい集まるか分からなかったけど、あっという間に100社を超え、1000社も超えてしまった。ボクも映画業界は長いけど、こんなことは初めて、狂気の沙汰と言っていいほどです。これはもちろん、松村社長の人徳です。いろんな人が彼の周りには寄ってくる。外食企業だから、取引のある企業が協賛になってくれるのはもちろんあるけれど、それだけでは1000社は集まらない。彼は、人を惹きつける魅力があるんですよ」(奥山氏)

 それが1118社だ。さらに公開の仕方も変わっている。これだけの協賛企業を集めながら、単館上映なのである。それも名画座といった劇場ではなく、TOHOシネマズ六本木ヒルズによる単館上映だ。

「彼の店が六本木に縁があるからね。TOHOシネマズ六本木ヒルズでは、かつてアル・ゴア元米国副大統領(70)の『不都合な真実』(UIP/2007年/デイビス・グッゲンハイム監督)が1年以上公開され、6万人以上を動員した記録がある。そのくらいのことが起こったら面白いね」(同)

 公開までひと月を切った。

週刊新潮WEB取材班

2018年10月17日掲載

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