韓国「抗日旗」問題 海自OBは呆れ顔で「軍人の独断でやれることではない」 

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「軍人がやれることではない」

 ちなみに他の参加国も、韓国側の要請に従わなかった。13日の朝日新聞「7カ国が軍艦旗を掲揚 海自派遣断念の韓国観艦式」をご覧いただこう。

《観艦式には10カ国から、米原子力空母ロナルド・レーガンなど外国艦艇15隻を含む計39隻が参加。このうち豪州、ブルネイ、カナダ、インド、ロシア、シンガポール、タイの艦艇がマストや艦尾に軍艦旗を掲げた。日本政府関係者によると、残る米国、インドネシア、ベトナムは、もともと国旗を軍艦旗として使っている》

 この旗、「英雄の旗」と表現されることもあるが、産経新聞は「抗日旗」と表記した。いずれにしても「軍艦旗」とは書けないわけだが、本稿は産経新聞に従う。

 この異常事態を“プロ”は、どう見たのか、再び海自OBに取材すると、「あくまでも推測ですが、今回の一件は軍人がやったことではないと思います」と指摘する。

「韓国政府が各国の海軍に『自国旗と韓国の国旗だけを掲揚してください』と要請したにもかかわらず、韓国海軍だけの判断で抗日旗を掲げたとしたら、政府は処分を下すはずです。政府に逆らい、面子を潰した軍艦で、韓国トップの文在寅大統領(65)が演説するはずがありません。政府が抗日旗の掲揚を海軍に命じたと見て間違いないでしょう。シビリアンコントロールという言葉もありますが、軍人はルールに従わなければなりません。ルールを書き換えることができるのは政治家だけです」

 軍艦旗を有する7か国が韓国側の要請に全く従わなかったのは、水面下でのすり合わせがあった可能性もあるという。

「国際法に反する可能性さえある異例の要請を行うわけですから、韓国側は日本を除く各国に『これは旭日旗に対する世論を考慮してのことです』と事前に説明したはずです。しかし日本の不参加により、要請の必要性が消滅してしまいました。軍艦旗を持つ各国海軍は韓国海軍に『もう掲揚自粛は意味がないから、軍艦旗を掲揚しますよ』と打診したのではないでしょうか。少なくとも実務者レベルでは、何らかの話し合いが持たれても不思議はありません」(同・海自OB)

 旭日旗が「日本帝国主義の象徴」であるという韓国側の主張に理解を示し、それ故の特別な配慮を提言するメディアも少なくない。

 ニューズウィークに掲載されているコラム「グレン・カール CIAが視る世界」は11日(電子版)、「日韓を引き裂く旭日旗の呪縛」と、この観艦式の問題を取り上げた。日付から分かるように、式の前に掲載されたものだ。このコラムで筆者は日本側に“妥協”を求めた。主張の部分をご覧いただこう。

《韓国に日本と同じ旭日旗観を強いることは不可能だし、そんな試みをする必要もない。原理原則にこだわる非妥協的な態度を貫けば、日本は無神経で敵対的だという韓国側の主張の証明になる。問題の解決策は単純だ。済州島の港湾や沿岸では旭日旗ではなく日の丸を掲げると宣言すればいい》

 だが式で韓国は「抗日旗」を掲揚した。これこそ“反日”の原理原則にこだわる被妥協的な態度と指摘せざるを得ない。「多少は韓国の言い分に耳を傾けなければ」と考えていた日本人も呆れたはずだ。韓国に対する見方も相当に変わったに違いない。「無神経で敵対的」なのは日本ではなく、むしろ韓国の方だろう。

週刊新潮WEB取材班

2018年10月15日掲載

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