待遇は「平昌」以下? “日給1千円”東京五輪ボランティアの無理難題

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 女優の広瀬すずが立つ傍を、数百の学生が全速力で走り抜ける。広瀬がナレーションで、〈さあ 世界をもてなそう〉と語り、〈ボランティアを募集します〉と、叫ぶ声を重ねる。9月26日から始まった東京五輪ボランティア募集のPR動画だ。組織委と都は、合計11万人のボランティアを約2カ月半の募集期間で集める計画を立てている。

「募集開始1週間前に交通費を日額1千円支給と決めたが、1日8時間拘束のボランティアでは、時給換算で125円しかない、と不満の声が聞こえます」(都政担当記者)

 自発的に集まるなら無償で当然。が、現在、各教育機関や企業、自治体に“動員”のような募集が掛かっていることが問題になっているのだ。

「お金の支給額だけの問題ではないですよ」

 とは、『ブラックボランティア』などの著書がある作家の本間龍氏。

「平昌五輪では、2千人のボランティアが開幕前に離脱したと大々的に報じられましたね。しかし、あの五輪ですら宿泊施設がボランティアの人たちに提供され、食事も全員分出ていました。東京五輪は、値上がり必至の宿泊場所も自分で確保しなくてはならない。いかに東京五輪がボランティアに厳しい大会かが分かるでしょう」

 加えて、年内中にボランティアという呼称ではなく、他の愛称を決める動きも出ている。

「ボランティアなのに動員を掛けるから不満が出る。だから、“ボランティア”と呼ぶ必要をなくしたいんですよ。それに格好良い名前を付けて士気を上げれば、一体感が生まれて、不満も減ります」(同)

 愛称を決めるにも予算が付くのだから、それを分配した方が不満も収まる?

週刊新潮 2018年10月4日号掲載

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