星野源、峯田和伸、MIYAVI…プロ役者を喰うミュージシャン俳優が大量進出

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ミュージシャンが映画に挑戦する理由

 と、こういう具合だ。7月から10月の映画・ドラマをほんの少し俯瞰しただけで、4人の「ミュージシャン兼俳優」が列挙された。なぜ、これほどまでに映画やドラマの制作現場は音楽業界の才能を必要とするのだろうか。

 しかも、この現象は昨日今日の話ではない。ミュージシャンとしてデビューし、俳優に転向、その上で音楽活動も継続したという経歴の持ち主をまとめてみれば一目瞭然だ。

 歴史と層の厚さに驚いた方もおられるだろう。プロの俳優を喰いまくってきた人々とも形容できる。民放キー局のディレクターに解説してもらおう。

「やはり普通の役者さんでは出せない魅力を持っている人ばかりです。MIYAVIさんや峯田和伸さんになると、ルックスのレベルで既に独特です。これは昔からそうで、福山雅治さんのようなイケメンだけでなく、武田鉄矢さん(69)や泉谷しげるさん(70)という個性派も輩出してきたのが音楽業界です。皆さんの本質は、単館系映画のようなマニアックな作品にこそフィットする方々だと思います。それでもメジャーな映画やテレビドラマが出演をお願いすると、独特な存在感を維持しながら、幅広い視聴者層にも対応した演技を披露してくれる。これこそ私たちが仕事をお願いする最大の理由です」

 ところが、もう一つ「おおっぴらには言えない」裏の理由もあるのだという。

「実は、プロの役者さんよりギャラが安いことが多いんです。さすがに吉川晃司さんクラスになると遜色のない高額ですが、GACKTさん(45)でさえ少しだけ割安になります。星野源さん、野田洋次郎さん、峯田和伸さんといった方々になると、具体的に制作費のコストカットが実現できるほどです」(同・ディレクター)

 テレビ局の場合なら、それなりの資本が投下される。だが単館系映画の制作現場となると、ぎりぎりの予算で撮影していることが極めて多い。そんな時、「俳優の仕事に興味を持つミュージシャン」が“救世主”になることがある。

「演技に音楽活動とは異なる魅力を感じてくれたり、作品の内容に共感してくれたりして、格安のギャラで出演してくれるミュージシャンが昔からいたんですね。そうしたこともあって、後に名優と評されたミュージシャンでも、デビュー作はテレビではなく映画という人が多いんだと思います。映画なら、自分のコアな魅力を守りつつ、演技という新しい道を模索することが可能です。その成果を見て、私たちテレビ局の人間がドラマの出演をお願いする。そういう伝統があるんです」(同・ディレクター)

 最近は「お笑い芸人の役者挑戦」が一段落した雰囲気が強いこともあり、さらに「役者もやってくれそうなミュージシャン」のニーズが高まっているという。

週刊新潮WEB取材班

2018年10月5日掲載

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