野田総務相が指摘 ふるさと納税“やり過ぎ”自治体の言い分

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「現在、ふるさと納税は存続の危機にあります」

 野田聖子総務大臣が、ふるさと納税制度の規制に言及したのは9月11日のこと。総務省によると寄付額は10年前の約50倍、約3653億円(昨年度)に達しているから、本来なら大成功である。問題は、思った以上に高額の家電や金券が返礼品として横行していることだ。

 同省は今年7月、「寄付額の3割超」や「地場産品以外」の返礼品を送っている12市町を公表したが、実際には246もの自治体が3割超の返礼品を送り続けていた。中でも先の12自治体のリストを見ると、返礼というより格安の「通販サイト」だ。

 たとえば昨年度135億円を集めた大阪・泉佐野市。約1千品目を揃えており缶ビールや洗剤もある。最近まで地元・関空が格安航空会社ピーチ・アビエーションの拠点であるという理由で航空券(ポイント)も提供していた。また、佐賀県の唐津市はサプリメント。静岡県の小山町は、リンガーハットなどの商品券だ。当の自治体に聞いてみると、

「サプリの会社の直営店が市内にありまして……」(唐津市市政戦略課)

「地元に返礼品のメーカーの工場があり、地場産品という考えでした」(小山町シティプロモーション推進課)

 もっとも、返礼品競争の背景には地方自治体の苦しい財政事情もある。先の泉佐野市の市政関係者が言うのだ。

「泉佐野は9年前に関空のために行った投資がたたって財政破綻寸前まで追い詰められたんです。職員の給与カットを行い、犬の飼い主に税金をかける検討委員会まで作ったほど。ふるさと納税も、ようやく歳入の4分の1を賄うところまで来た。なのに、地元の苦労を知らない大臣の発言は納得できませんね」

“やり過ぎ”自治体にも言い分はあるのだ。

週刊新潮 2018年9月27日号掲載

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