“就活ルール廃止”で起きる異変 大学1年時から競争に?

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1年生から

 実際、就活の現場はどんどんなし崩しになっている。

 3年前「ユニクロ」のファーストリテイリングが大学1年生からインターンシップを始めて話題になったが、これに続けとばかりにIT系企業や外資系などが、学生の囲い込みを早めた。経団連加盟の企業が焦るわけである。

「経団連前会長の出身企業(東レ)だって解禁前に“面談”と称する面接をやっていました。就活ルールなんて守っていたら、IT系にいいのをどんどん持っていかれてしまうのです」(同)

 人事コンサルタントの城繁幸氏によると、

「すでに採用面接が始まる前の大学4年の5月ごろには、4割の学生が内定をもらっているというデータもあります」

 中西会長が廃止を口にするのもむべなるかな。では、2021年から本格的に就活ルールが無くなると、就活戦線にどんな異変が起きるのだろうか。

 経済同友会の小林喜光代表幹事などは、「大卒時に一発で人生を決めなければいけないのか」と、新卒一括採用の慣行にまで疑問を投げかけている。

 ちなみに就活ルールのないアメリカでは、早いと大学1年生からインターンが始まり、名門大学の学生はがっちり囲い込まれる。企業の採用は部門ごとに行われ、選考でも専門性(大学での専攻)が重視される。それでも卒業前に就職先が決まっている学生は全体の半分以下で、残りは卒業後に探すのが一般的だ。

 大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が言う。

「さすがにアメリカ並みとまではいかないでしょうが、ルールが廃止されれば大学1年生から就職先を考えなくてはいけなくなる。企業も“青田買い”で囲い込んだはずの学生を、さらに良い条件で他社にさらわれてしまうことも起きる。公務員試験も前倒しになる可能性があります」

 先の城氏も、ルール廃止で6カ月〜1年は就活が早まると見ている。親子で大学合格を喜ぶ間もなく、次なる競争が始まる時代の到来か。

週刊新潮 2018年9月20日号掲載

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