「綾瀬コンクリ事件」元少年が再逮捕 警察は凶悪犯の“出所後”を把握しているのか

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基本的には把握せず

「基本的に警察は、刑期を終えた元犯罪者の動向については把握していません」

 と解説するのは、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏である。

「出所後にどこに身を寄せるのか、自宅に帰るのか、施設へ行くのか、そういった点の把握はしますが、その動向を逐一追うことはしません。してはいけないのです。なぜなら、更生した、あるいはしようとしている者の邪魔になるからです。警察官がその人物の所在、あるいは近況を探るため、近隣住民に尋ねたとしましょう。対象人物の素性を明かさなかったにせよ、周囲の住民にしてみれば“あの人は何者だ”となる。対象の本人にしてみれば、生活を脅かされたことになり、人権侵害になってしまいます。仮に動向を追うとしても、年に数回の巡回連絡で訪問し、そこにいるかを確認するくらいです」

 海外では前歴者や仮釈放中の人物の身体にGPSを装着し、監視を行うシステムがあることは知られている。性犯罪者情報公開法であるミーガン法が制定されているアメリカでは、前科者の位置情報が地図上にマッピングされるサービスまである。これらの国と日本との間には、大きな差を感じるが、

「もっとも『綾瀬コンクリ事件』のようなケースでは、一般的な前科者よりは、詳しく動向を把握していた可能性もあります。この事件は、未成年による稀に見る凶悪犯罪であり、世間的にも著名な事件であるからです。しかしながら、“これくらいの犯罪なら動向を追跡する”という明確な基準が警察内にあるわけではないですし、そういった情報が交番の巡査レベルで共有されていたとも思えません。どこで漏れてしまうか分かりませんから、当然ながら情報の取扱いは慎重になります。今回の場合でいえば、たとえば所轄警察署の刑事課では所在を把握していて、それが“もっと大物だ”という発言につながったのでは」

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