“石破茂は裏切り者!” 安倍総理の「総裁選オフレコ発言録」

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石破さんには3度裏切られた

 翌26日、鹿児島県の桜島を背景に安倍総理は総裁選(9月7日告示、20日投開票)への正式な出馬表明を行った。曰く、

「どのような国造りをしていくかということが争点であろうと思います。骨太の議論をしていきたい」

 さらに遡ること約20日。まだ出馬表明こそしていなかったものの、安倍総理が3選を目指して総裁選に出るのは「100%の既定路線」だった8月7日、彼は自民党の役員会でこう言っている。

「(総裁選が)終わったらみんなで挙党一致体制を作っていく。(報復人事は)一切ない」

 試合が終わればノーサイド。

 麗(うるわ)しきキレイゴトである。しかし、怨念や嫉妬といった負の感情が渦巻く政治の世界では、こうした「建前」の裏にドロドロとした「本音」が必ず隠されているもの。事実――。

「安倍総理は石破さんに激しい恨みを持っています」

 こう心中を代弁するのは安倍総理に近い自民党議員だ。

「石破さんには3度裏切られたと。1度目は1993年に自民党が下野した時、彼が離党して、翌年、新進党に加わったこと。2度目は第1次政権時の2007年の参院選で自民党が惨敗し、安倍総理が窮地に陥っていた際、石破さんが『(総理が)何を反省するかが大事。それを明らかにしてほしい』と面と向かって批判したこと。3度目は一昨年の内閣改造で、入閣を求めたのに彼がそれを蹴ったこと。だから報復人事は一切ないなんてあり得ない。今回の総裁選で石破さんを徹底的に潰すつもりですよ」

 現に安倍総理自身、仲間内でこう漏らしているという。

「野党になって皆が辛(つら)い目に遭っている時に党を出ていった。石破さんはいつも裏切る。そういう人が自民党のあり方を語るのはどうなのか」

 政治アナリストの伊藤惇夫氏が解説する。

「確かに自民党には、離党して復党した出戻り組を『前科1犯』などと呼ぶ古い文化が残っています。しかし、そういう言い方をすれば二階さん(俊博・幹事長)だって『前科者』ということになる。それよりも、第1次政権の参院選後に、石破さんが安倍総理を批判したことのほうが根深い問題になっているんだと思います」

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