56年前の「コカ・コーラ」半自動式自販機が未来技術遺産に選出 瓶コーラは今も健在

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瓶のほうが美味い?

 なるほど。ただしコカ・コーラのボトル用自販機は、たまーに見かけることがある――。オートバイ専門洋品店の「ライダーズスタンド和光2りんかん」(埼玉県和光市)にもある。

「ええ、ウチに置いてますよ。壊れたらなかなか修理ができないと言われているんですけど、普通の缶ジュースよりも売れ行きはいいです。補充してもすぐ売り切れちゃいますから。なんかね、瓶のほうがスッキリしているというか、美味しいと言う人が多いんですよ。若い人なんかは栓のぬき方が分からなくて、開けてくれって言ってくる子もいますけどね」

 よくよく見せてもらうと、この自販機は富士電機リテイルシステムズ(現・富士電機)製であることが分かる。同社は1969年に自販機の製造に乗り出しているが、いつ頃のものなのだろうか。

「2006年から製造しているようです」(富士電機)

 そんな新しいものがあったのか。再度コカ・コーラに確認すると、

「はい2006年は米国でのコカ・コーラの販売開始から120周年になるんです。そこで日本でも記念に何かできないかということで、V-63型に似せた自販機を製作したのです。コインを入れてボタンを押してから引き抜くところが、ちょっと新しくなっているようです。06~11年にかけて2000台が作られたそうです」(コカ・コーラ)

 それが今も見かける“新V-63型”であるらしい。では、瓶のほうが美味いという説は?

「現在もコンツアーボトル(コカ・コーラの瓶タイプ)は、レストランやカフェなどをメインに製造されています。ただし、缶入り、ペットボトル入りと、中身は同じです。おそらく瓶の滑らかな口当たりなどで、そう感じられるのではないでしょうか」(同)

 ちなみに、現在の自動販売機はどのくらい進化しているのだろうか。

「やはりエコロジーに配慮しています。夜に冷却し、電力使用のピークとなる昼は冷却用電力を停止するピークシフト制を取り入れた自販機を広めています」(同)

 この暑い中、冷却しない?

「そうです。製品を日中に補充したときには冷却しますが、基本的には朝7時から夜11時までは冷却用の電力を完全停止します。もちろん自販機を作動するための電力は使わざるを得ませんが、これにより夏の日中など最大95%の消費電力を削減しました」(同)

 夜のうちに冷やした製品自体が、昼間は保冷剤の役目を果たし、自販機の断熱性や気密性を高めた結果という。

「他には、スマホ対応の自販機ですね。スマホにアプリを入れていただき、Bluetoothで接続することで、自販機で買うごとにスタンプが押され、それが貯まると製品と交換ができます」(同)

 なんだか自販機もとんでもない進化を遂げているようだ。これらが未来遺産に加わるのはいつのことだろうか。

週刊新潮WEB取材班

2018年9月2日掲載

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