ベルリン・フィルの世界的指揮者が激怒… 人事の裏に「安倍昭恵」夫人

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100億円が空中分解

 その塩見さんがこの6月、財団の会長と貸与委員を突然、解任された。ラトルに近い関係者が言う。

「塩見さんも75歳。いずれお辞めになるとは思っていたけど、突然引き継ぎもなく辞められたら楽器貸与事業が空中分解します。この事業は海外にネットワークがかなり広がっていて、誰もがすぐに引き継げるものではない。クセが強い一流芸術家たちとの英語で結ばれた信頼関係は、時間をかけて丁寧に引き継ぐ。欧米ではそれが常識です。ラトルのもとに、後任の海老沢勝二氏(元NHK会長)から“辞めないでください”というメールが来て、言下に断ったそうですよ」

 では、彼女はなぜ解任されたのか。外国人への貸与が多いが、元手は日本のお金なのだから、もっと日本人に貸すべきだ、という内向きの苦言も寄せられていたという。加えて、

「日本財団の笹川陽平会長から、ヴァイオリニストの諏訪内晶子への貸与期間が長すぎで、“政府筋”からも指摘されている、と告げられたとか。諏訪内と敵対する人物が総理夫人と非常に親しく、その関係ではないかと聞きました」(同)

 笹川陽平氏に連絡すると、日本財団から、

「結果として長期間にわたり継続的に貸与し続けている例が多くみられることから、事業主旨に反する例が多くなりました」

 等の回答が届き、安倍昭恵夫人の関与は否定してきた。一方、塩見さんは、

「たしかに、きちんと引き継ぎをさせていただければ混乱を防げたと思います。その点が残念です」

 と言葉少なに語った。いずれにせよ、欧米で日本の良心と評されていた楽器群が、巨匠たちの後ろ盾を失って、金満日本の象徴のように宙に浮いている。

週刊新潮 2018年8月16・23日号掲載

ワイド特集「真夏の夜の夢」より

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