「将来不安」を嘆く前に持っておくべき3つの心構えとは

社会2018年8月1日掲載

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「逃げられない世代」

 中高年向けの週刊誌などで定番記事となりつつあるのが「年金」「保険」を扱ったものだ。言うまでもなく、定年後に不安を抱える主要読者層に向けたものなのだが、実際にはより深刻に将来を心配する必要があるのは、もっと下の世代だろう。

 元経産省キャリアの宇佐美典也氏は、新著『逃げられない世代――日本型「先送り」システムの限界』の中で、現在の20~30代の世代が高齢者となる2036~40年には、政官が先送りにしていた問題が限界に達して、このままでは日本の様々なシステムが崩壊する、と警鐘を鳴らしている。つまり、より将来不安を抱えるべきは、この「逃げられない世代」だとも言える。年配よりも若者のほうが本当は大変なのだ。
 週刊誌の記事は、老若男女共通の「不安」への解答の1つだとは言える。

 もっとも、資産運用やライフプランの専門家のアドバイスもある程度は参考になるものの、全面的に頼ることもできない。というのも、対処法は人それぞれ、置かれた状況や考え方でかなり異なる。持ち家があるかないか、年金額がいくらか、そもそも生活費がどのくらい必要なのか、人間の数だけ事情があると言っても過言ではない。

 特に「逃げられない世代」にとっては、まだ少し時間がある分だけ、どこから考えていいのかわかりにくい問題だ。
 自身、その世代である宇佐美氏は、前掲書の中で、「私たちはどう生きるべきか」と題して、頭に入れておいたほうがいい基本的なスタンスを解説している。
 そのポイントを改めて語ってもらおう。

(1)87歳~90歳くらいまで生きると覚悟すべし

「平均寿命が男性で83歳、女性で89歳くらいとなっていますが、これは0歳児のちょうど半数がそのくらいまで生きると期待される年数です。すでに20~30代まで『生き延びた』私たちは、男性ならば87・76歳、女性ならば93・89歳くらいまでは生きることになります。
 つまりそのくらいまでは生きると思って人生設計・ビジョンを考えなければいけないはずです」(宇佐美さん)

(2)何歳まで働くかを考えるべし

「おそらく政府は今後、高齢者の就業期間の引き伸ばしと並行して、厚生年金の受給開始年齢や受給額を弾力化していく措置を進めていくと思われます。
 要するに『なるべく長く働けるようにするから、なるべく長く働いてください。そのかわり、その間の年金の給付は限定的になります』ということです。
 そうなると会社勤めの人の場合は、60歳までは会社の主戦力として働き、65歳までは会社の補助戦力として働き、さらに70歳までは一定の収入を得るために自活し、70歳を超えてようやく年金収入を中心に暮らす、というのが一つの標準になるでしょう。
 聞いただけで暗い気持ちになる方もいるでしょうが、前向きに考えれば、65歳を過ぎてからも労働を通して社会と接点を持ち続ける、とも言えます。『65歳になった自分は社会のために何をできるのか?』というテーマは考えておいたほうがいいでしょう」(同)

(3)70歳以降は現役時代の25%の収入を確保せよ

「我々の世代にとって厚生年金収入は『老後の収入源の中心ではあるものの、それだけで暮らしていくということは難しい収入』と考えるべきです。
 現役時代の50%の所得を確保しようと思った場合、政府の見通しはあまり鵜呑みにしないで、現役時代の15~20%くらいの収入は自分で働いて確保する必要があります。そのためにはやはり定年後のキャリアを早くから意識すべきでしょう」

 残念ながら政治家や官僚が先送りした様々な問題のツケを、若い世代がある程度払わされることは不可避である。しかし、個人として身を護る準備はいつでも始められるはずなのだ。

「とにかく65歳になったら働きたくない!という人にとっては不満かもしれませんが、しかし90歳近くまで生きる可能性を考えたら、高齢者になっても働くのは悪いことではないはずです。誰かに必要とされているのですから。
 この先人口は減り続け、人手不足は加速します。だから準備さえしておけば高齢者になっても私たちが活躍できる場は見つかるはずです」(同)

デイリー新潮編集部