「週刊文春」が取り上げた「人工甘味料」論文の“不都合な真実”

社会週刊新潮 2018年7月26日号掲載

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 過去、食品添加物の害について何度も報じてきたにもかかわらず、突如として方針を百八十度転換させ、「過剰に恐れる必要はなさそうだ」などと言い出した週刊文春。そんな“ご都合主義”の文春に、またしても「『週刊新潮』食べてはいけない『国産食品』実名リストの罪」なる記事が掲載された。

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 本誌(週刊新潮)はこれまで、人工甘味料に関しては、それが腸内細菌に作用してバランスを乱し、血糖値上昇をもたらす、との研究結果が「ネイチャー」誌に掲載されたこともお伝えしてきた。これに関して文春は、〈人工甘味料が血糖値に与える影響を否定する最新の研究結果も存在する〉として、今年5月に米イリノイ大学が発表した調査結果について紹介したのだが、

「文春の記事では、ある専門家が、イリノイ大学の発表について、『より高い見地からメタ解析した、極めて信頼性の高い調査結果』と評していますが、これには疑問を感じます」

 そう語るのは、ハーバード大学などで研究を重ねてきた医師の大西睦子氏だ。

「この調査は複数の研究結果を用いて、それらを統計的に解析する“メタ解析”という手法が取られています。が、対象の背景が異なる小規模試験を多数合わせて、全体のサンプル数が700人程度と、メタ解析するのが理想的な状況とはいえない。論文にも『サンプルの規模は小から中程度のもので、研究の参加者も典型的な代表群とは言えない』と記され、サンプル数の不足と対象者の偏りを指摘しています。こうした点に鑑みると、専門家の『極めて信頼性の高い』といった表現には疑問が感じられるのです」

 それだけではない。

「イリノイ大学の論文には、2017年にマニトバ大学が行った調査結果も引用されています。そこでは、ランダム化比較試験では人工甘味料のBMIへの影響は確認できなかったものの、観察研究では、日常的に人工甘味料を摂取する人についてはBMIの増加や心臓病のリスクが高まる可能性がある、さらなる調査が必要、と結論付けています。論文の読み取り方は研究者によって様々ですが、文春の記事でのその専門家の表現は、論文を切り貼りして自分に都合のいいところだけを伝えているように感じられてしまいます」

 無論、文春には何らかの“意図”があり、そのような専門家の談話を紹介したのであろう。

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