「紀州のドン・ファン」事件の迷宮! 金庫から消えた3億円

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 和歌山県警による「紀州のドン・ファン」事件の捜査は、現在迷走中。そんな折、会社の金庫に入っていたはずの隠し金3億円が消えていることが発覚したという。もしや、それを着服するために殺人は起こったのか。捜査線上に浮かび上がったあらたな犯人像とは。

「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏(享年77)の怪死事件から1カ月余り。四十九日を迎える。

 野崎氏の会社関係者によれば、

「こちらの風習では、葬儀から四十九日までの間、7日ごとに追善供養を執り行います。奥さんはその度に和歌山の自宅に戻ってきますが、すぐに東京へトンボ返り。未だ、社長の遺骨を納めるお墓の準備もできていません。古株の従業員らが、“妻として、やるべきことはやらないと”などと諫めても、スマホのゲームばかりをしていて、聞く耳を持とうとしないようです」

 葬儀の直後から、22歳の幼妻は「夫の墓なんて守らないもん」と言い放ち、遺骨の埋葬場所は宙ぶらりんのまま。

 一方、和歌山県警の捜査もこれといった進展が見られず、迷宮に入り込んでいる。

 県警詰めの記者が解説する。

「野崎さんの愛犬イブから覚醒剤反応が出れば、野崎さんの死も身近な者による他殺の可能性が高まりました。犬が自ら覚醒剤を摂取するようなことはないからです。でも、結果は不検出。それを受けて、警察は身近な者に絞り込まず、捜査の範囲を拡大する方針です。野崎さんは酒類販売業のほかに金融業も営んでいましたが、貸し付けのトラブルがなかったかを洗い出したり、また、高級デートクラブから紹介された過去の愛人の行方を追ったりしています」

 そうした捜査の過程で、県警は、1回目の家宅捜索から1カ月近くも経った6月20日、野崎氏の会社に2回目の家宅捜索を行った。

「10人以上の捜査員が足を踏み入れた先は1階の事務所ではなく、2階の金庫室。事件発生直後の5月26日に行ったガサでは金庫が開けられなかったため、今回は専門業者を呼んでいました。大小2つの金庫を開けてみると、大きい方にスーツやネクタイが入っていただけで、覚醒剤はおろか現金もなく、ほぼ空っぽだったのです」(同)

 そもそも、野崎氏は現金を手元に置いておくタイプで、2016年には当時の愛人に自宅から6千万円相当の金品を持ち逃げされている。

 なにより、資産50億円と言われているだけに、金庫には現金や貴金属がうなるほどあると見られていたのだ。

「社長は、株の運用のために証券会社に4億円を預けたり、JAバンクにも1億円を預金する一方で、いわば隠し金は自分で管理していました」

 とは、前出の会社関係者である。

「20年前、社長は約2億円の脱税に問われ、刑務所に入る寸前にまで追い詰められた。それ以来、国税局を極度に警戒していました。隠し金を国税局に突き止められないようにするため、金庫にずっと置きっぱなしにするようなことはせず、頻繁に移動させていた。社長は自分だけが持っているカードキーで金庫室に入ると、現金をスーツケースに詰め込み、まわりをガムテープでグルグル巻きに。そして、会社の若手従業員に、外の預け先へと運び出させていたのです」

 そのスーツケースの重さは、いつも30キロ以上になっていたという。

 1万円札ならば、1億円分でおよそ10キロ。もし、スーツケースの中身が全部1万円札だった場合、ざっと3億円が入っていたことになる。

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