「谷岡学長」独占手記 栄監督の解任を決めたワケ、吉田沙保里にも相談

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伊調とコーチ、2人だけの世界

〈パワハラ問題の発端は、伊調らが栄監督からパワハラを受けたとする、弁護士の告発状が1月18日、内閣府に提出されたこと。告発状が指摘するパワハラは主に3つ。1つ目は伊調が師事する田南部力(たなべちから)コーチへの不当な圧力。2つ目は伊調の男子合宿への参加禁止。最後は、田南部コーチが所属する警視庁レスリングクラブへの伊調の出入り禁止だった。日本レスリング協会は、3月9日、調査のための第三者委員会を設置した。〉

 弁護士の聞き取りや私からの質問に対し、栄監督が明かしたのは、馨と田南部コーチが2人だけの世界をつくってしまっていること。まわりが目に入らず、お互いのことにしか関心を向けないので、チームの和を乱しているということでした。

 例えば、代表合宿のとき、馨はチームメイトと組み手の練習をするのではなく、いつも田南部コーチが相手なのだそうです。そのため、他の女子選手から、「なんだか、雰囲気がおかしい」などという訴えが栄監督に寄せられるようになった。また、馨は警視庁のレスリングクラブで田南部コーチの指導を受けていたわけですが、この様子を見た男子選手からも「目のやり場に困る」「集中できない」というクレームが出ていたのです。そのため、栄監督は強化本部長として、「2人での練習は、他の選手の練習が終わってからにするように」と馨と田南部コーチに注意した。告発状に書かれているように、警視庁レスリングクラブへの出入りを禁止したわけではありません。

 しかも、代表合宿中に2人が抜け出し、皆で探し回るということまであったと聞きました。栄監督は、協会の上層部から、「2人のスキャンダルが表沙汰にならないように」と、釘を刺されていた。上からも下からも言われ、なんとかしなければという強い思いがあったに違いありません。でも、栄監督は不器用なので、うまく伝えられなかった。謝罪会見でパワハラの原因について問われ、「コミュニケーション不足」との答えが批判を浴びましたが、結局、本音が出てしまったのです。

〈田南部コーチに聞くと、

「伊調とはあくまで、コーチと選手の関係であり、男女関係にはありません」

 一方、伊調からは、回答はなかった。〉

 ***

(下)へつづく

週刊新潮 2018年7月5日号掲載

独占手記「泣いて馬謖を斬った『谷岡学長』 金メダル製造機『栄監督』を破壊した『伊調馨』の秘め事――谷岡郁子(至学館大学学長)」より

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