「麻原彰晃」はいかにして「超高学歴信者」を心服させたか “ASC”でコントロール

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“超高学歴”の面々

 教団ナンバー2の村井秀夫は、オウムの科学技術省長官だった。大阪大学理学部物理学科を卒業後、同大学院理学研究科に進み、宇宙物理学を専攻。神戸製鋼機械研究所に4年勤めた後、オウムに出家した。95年4月、教団への警察の捜査が本格化する中、南青山の教団施設前で、右翼団体構成員を自称する男に刺殺された。享年36。

 サリンの製造を成功させたのは土谷正実=地下鉄サリン事件の共謀共同正犯で死刑確定=だ。彼は、筑波大学大学院化学研究科を修了。博士課程在籍中にオウムに出家した。

 この土谷とともに、地下鉄で撒かれたサリンを製造したのは、厚生省大臣だった遠藤誠一=確定死刑囚=。京大大学院医学研究科で学び、京大ウイルス研究所でエイズウイルスなどの研究に従事していた。

 教団には自前の医師もいた。京都府立医科大を卒業し、麻原の主治医を務めた中川智正=確定死刑囚=と、超難関の慶応大学医学部を卒業し、教団で治療省大臣となる林郁夫=無期懲役囚=だ。

 広瀬健一=確定死刑囚=は早稲田大学理工学部応用物理学科を首席で卒業した。豊田亨=確定死刑囚=は、最高学府である東大の理学部物理学科卒で、同大学院理学系研究科修了後、オウムに出家した。

 この林、広瀬、豊田の3人は、林泰男などとともに地下鉄でサリン袋に傘の先端を突き刺し、13名の死者を含む6300人以上もの死傷者を出す大惨事の実行犯となった。

 学歴社会を勝ち抜いた彼らは何故、髭面でぶよぶよメタボ腹の冴えない中年男に心酔し、絶対服従のロボットと化して、無差別大量殺戮へと走ったのか。

 その謎を解くキーワードは、冒頭で紹介した映画のタイトルにも使われている。「アルタード・ステイツ・オブ・コンシャスネス」(ASC)。日本語では「変性意識体験」と訳され、人が幻覚などを見る状態を指す。教団はこれを神秘体験や超能力と称し、その獲得を謳って信者を増やしていったのである。しかしこのASCの正体は、超常体験などではなく、実は科学的に解釈可能な現象に過ぎない。麻原はこのASCに信者を到達させる極めて高い技術を有していたのだ。

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