外務省「ロシア課長」セクハラ隠蔽に“vs.記者クラブ”の冷戦

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 さすが旧ソ連、ロシアと渡り合う官庁だけに、冷戦構造を作り出すのはお手のモノかもしれない。外務省ロシア課長に持ち上がったセクハラ疑惑。その発表を巡り、お膝元の記者クラブと冷たい戦争が勃発した。

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 ちょっと前まで、所詮は対岸の火事だと、福田前次官のセクハラ騒動を冷ややかに見ていたことだろう。

 霞が関では財務省と道を隔てて隣接する外務省が、6月4日付で毛利忠敦ロシア課長(49)に対して停職9カ月の懲戒処分を下した。

 ちなみに、毛利氏は武将・毛利元就の直系で、世が世なら長州藩の主となっていた人物。そんな名家の末裔の不祥事を報じた各紙は、

〈外務省課長 セクハラ疑い〉(6月6日付・読売朝刊)

〈外務省、露課長停職9カ月 セクハラか、詳細説明なく〉(同日付・産経朝刊)

 などスキャンダラスな見出しを並べるが、河野太郎外相以下、外務省は〈被害者のプライバシー〉を理由に詳細な説明を拒んでいるとしか、どの社も書かない。

 どうもスッキリしないが、このような記事に至った背景には、外務省と新聞テレビ各社が所属する記者クラブとの対立があるというのだ。

 外務省担当記者の話。

「そもそも、外務省は4日に本件を発表した際、いつものように掲示板の左端に貼り出しをせず、人目につかない右側へこっそりと貼り出しをしたんです」

 慣例では、新しい張り紙は左から順番に掲示される。それを今回は敢えてやらず、紙には所属部署や役職だけで毛利氏の実名はおろか、具体的な処分理由も記されていなかったのである。

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