株主総会シーズン到来 ホテル業界の笑いが止まらないワケ

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 今年の株主総会集中日は6月28日だ。この日、都内で株主総会開催を予定している上場企業は約400社。数年前から、東京証券取引所が株主との対話重視を強く“指導”したことで、集中日を避ける企業が増加している。結果、ホテル業界がほくそ笑んでいるのだという。

「東証サマサマ。株主総会の開催日分散は、ビジネスチャンスの拡大です」

 こう笑みをこぼすのは、都内にあるシティホテルの宴会部長だ。

「株主総会開催で、多くの企業から宴会場を利用していただいています。予約時に企業のお客様は割引は求めず、こちらの言い値をふたつ返事で了承してくれる。特に、不祥事を抱える企業は予行演習で開催日前日も会場を使ってくれます。総会で用意するのもテーブルとイス、音響設備くらいですからいいお客様です」

 数年前まで、“株主総会特需”は6月に1日か、2日程度だったが、いまでは5倍以上に増えたホテルもあるのだとか。また、ホテル業界は個人株主の動向の変化もビジネスチャンスとして捉えている。老舗ホテルの宿泊係によれば、

「これまで日帰りしていた地方の個人株主が、開催日の分散で株主総会当日にホテルに宿泊して、翌日に他の企業の株主総会へ出席した後に帰るケースが少なくないとわかった。そこで、うちではより多くのお客様に宿泊していただけるよう個人株主を対象にした割引宿泊プランのご提案を始めました。むろん、企業の方々もこのプランをご利用できますよ」

 上京した年配の個人株主はホテル内のレストランを利用し、お土産を買うことが多いという。

「5月に総会を開催する企業も増えています。また、12月、1月決算の企業は2月~4月に株主総会を開く。言い換えると、2月から6月以外には株主総会ほど“美味しいお客様”が見当たらないのが課題です」(同)

 濡れ手で粟? 6月は結婚式シーズンでもあり笑いが止まらないのだ。

週刊新潮 2018年6月7日号掲載

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