暴行騒動で5階級降格 「貴乃花親方」の着流しで出直し

スポーツ週刊新潮 2018年5月31日号掲載

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 いや、日本舞踊を始めたワケではない。ここは東京・両国国技館。貴乃花親方は独特のスーツ姿ではなく、珍しく浴衣を着流して館内を闊歩していた。5月13日から始まった大相撲夏場所で、親方が務めるのは5年ぶりの審判員。土俵下では羽織袴でキメるが、ひとたび裏手に回れば、ご覧の出で立ちとなる。

 胸を張って悠然とゆく、相変わらずの貴乃花スタイル。しかし親方の身辺は決して穏やかではない。日馬富士の暴行事件にはじまり、理事選での落選、弟子による暴行問題と波乱が続いた。協会トップの座を見据えていた平成の大横綱は、ほんの3カ月間で5階級も降格し、親方として最下位の「年寄」にまで転げ落ちてしまったのだ。

 これでは覇気を失っても当然だが、いやいやどうして、とベテランの相撲ジャーナリスト氏は否定する。

「志は捨てていません。負けを承知で理事選に打って出たのが何よりの証。審判紹介では拍手と歓声が起こる人気ぶりで、こんな光景は見たことがない」

 とはいえ、ふたたび理事を目指さないことには改革も夢のままだが、

「三役以上の力士を育てるのが最大の近道。そうすれば自ずと理事に推す声は高まる。番付発表後も、弟子に四股や鉄砲といった基本練習を徹底させていたのは、そんな意識の表れでしょう」

 あるタニマチも言う。

「部屋での稽古に集中しているようで、最近も『弟子には早く元気に土俵へ上がってほしい』と口にしていました」

 貫く無表情。しかし胸の内には決意を潜ませる。表舞台へ舞い戻るため、裸一貫、ならぬ“着流し一枚”の再出発である。