PTA活動でうつ病になった 「子供にみせられない」理不尽組織の実態

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密室で何が? PTAの「主」とバトって「うつ病」に

「子どものため」のはずのPTAだが、そこには様々なトラブルも潜んでいる。よくあるのが、ある特定の人によって、PTAが私物化される場合だ。

 東京の山の手地区に住む松下順子さん(53・仮名)の2人の子が、地元の公立小学校に通っていた時のこと。

「PTA本部役員の中で、何人かいた副会長のうちの1人が、10年以上居座っている、いわば『主』みたいなお母さんで……ある年に、新しく副会長に入られた方が、とってもいい方だったんですけど、その『主』とバトルになって、うつ病になられたんです。密室ですから、何があったのか詳しくは判らないのですが」

 この「主」のような副会長は、広報紙の印刷を安い会社に変えようとした広報委員に怒鳴り込んだこともあったという。

3回断られるのは当たり前

 松下さんは、PTA本部役員を決める、推薦委員会の委員長を引き受けた時のことも語ってくれた。

「投票して、集計を取るだけだと思ったら、引き継ぎの際に、言われました。『3回断られるのは当たり前。決して引き下がらないで、とにかく直接、家に行くことが大事です。ピンポンしなきゃダメ』って。最初は、え? どういうこと?って驚きました」

 まず、一般のPTA会員に、副会長や、書記、会計など、本部役員に相応しい人を推薦するための投票用紙を配り、それを集めて、名前があがった人に、それぞれの役を引き受けてくれないか、打診していくのだが……。

「打診しようにも、会ってさえくれません。電話なんて出てくれません。着信拒否です。一生懸命、お手紙を書いたりもしました」

 松下さんは、食欲が落ち、どんどんやせていったという。そうしてようやく引き受け手を見つけたのだが……。

「ああ、これでよかった、と思ったらOGが気に入らない人だからダメだと。特に理由もなくです。せっかく受けてくれたのに、外されたんです。いい人ほど、役員になれなかった印象があります」

 そもそも誰に何票集まったかも開示されず、きわめて不透明な形で本部役員が決められる学校がほとんどだという。松下さんの苦労は一体何だったのか。フェアに行われているポーズのためだけに投票を行っているのだろう。

PTA不要論』の著書がある黒川祥子氏は、

「PTAには独特のヒエラルキーがあり、新参者は受け付けない、というところがあります。私も親睦会の席で、空いているから座ろうとしたら『そこはもう決まっているから』とあからさまに除け者にされたことがあります。PTA役員から無視されたことも」と、苦笑する。

 今はLINEやメールがあるから、特定の人に情報をあげないなど、前よりも一層「ハブり」やすくなっているという。

 #PTAやめたの私だ、というハッシュタグが話題になったが、こんなトラブルが頻発するようなら、PTAをやめたい人が大勢いても仕方が無いのではないだろうか。

 少なくとも「子どもには見せたくない」光景なのは間違いない。

デイリー新潮編集部

2018年5月29日掲載

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