日大アメフト部問題「嘘」をついているのは誰だ 若狭勝元東京地検検事が解説

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 前監督らと選手の言い分が真っ向から食い違っている、日大アメフト部問題。22日の選手、23日の前監督とコーチの会見を受けて、翌日のワイドショーは「どちらが嘘をついているか」問題一色となった。

 そんななか、独自の視点での発言が目立ったのが、「とくダネ!」に出演した、元東京地検検事の若狭勝氏だ。

 双方の発言を比較するのみならず、若狭氏が指摘していたのが「嘘反応」。ちょっと耳慣れない言葉だが、これは嘘をついているヒトの言動の特徴だという。

 若狭氏の著書『嘘の見抜き方』には、その「嘘反応」が数多く挙げられているので、そのうちのごく一部をご紹介してみよう(以下、引用はすべて同書より)。

 (1)大事なことを覚えていない
「本当に覚えていないのか、本当にやっていないのか。これを見極める基準は『覚えていない』範囲の『ムラ』の有無です。
 覚えていないフリをしている人は、重要な場面、肝心な事実に限って覚えていないと言います。他の場面では饒舌(じょうぜつ)で、自分に有利な情報をはっきり覚えているのに、大事な箇所だけが不自然に抜け落ちています」

 (2)聞かれた質問に答えない
「核心的な質問をされたとき、直接答えずにはぐらかしたり、過度に一般化した話し方をしたり、逆に同じ質問を投げ返したりする。
 分かりやすく言えば、『○○さんは彼女がいるんですか?』と聞かれた際に、『僕はともかく、□□くんに彼女ができたらしいよ』(はぐらかし)、『彼女がいると楽しいよね』(一般化)、『そういう君は彼女がいるのかい?』(逆質問)と答えるやり方です」

 (3)話のリズムが突然崩れる
「嘘をつきながら演技している人は、どうしても不自然なふるまいになってしまう。『話のリズム』が突然崩れるのは、その典型例です。

 特定の話題になると、今までの話のリズムが急に崩れ、早口になったり、不自然なほどゆっくりした話し方になったり、声が高くなったり、話が途切れがちになる。嘘をついたことで心理状態が大きく変化し、激しく動揺したことを表わします」

 (4)「防御の修飾語」で逃げ道を作る
「嘘をつくときに、あらかじめ嘘の度合いを薄めておき、バレたときの逃げ道を作ろうとすることがあります。
『まあ』『多分』『……かもしれない』『私が知っている限りでは』『正確に思い出せないのですが』『思い違いをしているかもしれませんが』など、断定を避ける言葉を使うのが一つの方法です」

 他にも、若狭氏は「話すときのつまさきの向き」「視線の向け方」等々、検事生活で得た知見を披露している。人生を賭けて「嘘の見抜き方」を考え続けてきただけに、その分析は実に説得力がある。

 日大アメフト部問題などのニュースを見る際に限らず、ビジネスや日常生活でも、騙されないためには「嘘反応」を頭に入れておいたほうがよさそうだ。

デイリー新潮編集部

2018年5月25日掲載

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