進学は「海外超難関大」という選択 経験者語る「海外進学塾」からハーバードへ

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帰国子女ではないケースも

 代わって、中田家の三男と同じ、ハーバード3年に籍を置く高島崚輔さん(21)の場合はどうか。

「高校(灘)の先輩から、海外の大学という選択肢もあると言われたのが高校2年の冬でした。その先輩は帰国子女で海外の大学に通っていた。僕は帰国子女ではなく、そこまで海外を強く意識したわけではありませんでした。でも、とりあえず見てみようとハーバードへ出かけたのが高2の2月頃。面白そうな環境だとは思いました。ただ、日本の大学の方が楽しく過ごせるんじゃないかと迷う気持もあった。結局、決断したのは高3の夏で、ルートHで本格的に相談するようになったのは秋ぐらいから」

 帰国子女ではない彼は、やはり英語に手を焼いた。

「なかでも自分のことを表現するエッセイが本当に大変でした。論理的に書くだけでなく、いかに共感してもらえるか、相手の心をどう動かすか、自分の人生の縮図みたいなものを物語風に書けるか……という部分が求められる。その点、ルートHの存在は大きかった。日本の高校って海外を目指す人はまだ少なく、いわゆる同調圧力がありますよね。それとは対照的に、やりたいことを貫く、自分の好きなものに対して全力で向き合う、そういう子が集まっている感じがしました」

 息子の決断を両親はどう見たのだろうか。

「共に英語を話せる人でもないですし、海外で暮らした経験もありません。最初は“なに寝ぼけたこと言ってんだ”って感じでしたね。当時を振り返って良かったと思うのは、両親が僕に対して対等に向き合ってくれたこと。いろんな問答をする中で海外への決意が固まっていったからです」

 目下、再生可能エネルギーについて研究しているという高島さん。

「実は1年間大学を休学し、世界を視察して回っているんです。北欧から中東、アフリカ、中南米、そしてアジア。ケニアに世界最大級の地熱発電所があるので、そこにも行ったりしようかなと。取材費は、ソフトバンクの孫正義さんが始めた財団から助成して頂いています。やはりハーバードに行って良かったか? はい、本当にそう思っています。世界が拡がったっていうとありきたりですが、日本にどう貢献するかというスタンスが、世界にどう貢献するかという肌感覚で考えられるようになりました」

 海外超難関大に留学から進学、そして“ちょっと休学”も選択肢に含める時代になったというわけだ。

 なお、これまでルートHを巣立ち、大学を卒業したのは約20名。3分の1が米国現地企業(うち半分はIT)、3分の1が外資系企業の東京オフィス(うち半数はコンサル)、4名が米国の大学院に進学する一方、日本企業に勤めるのは2名のみ。高島さんの言うように、「世界にどう貢献するか」を自らに問い続けた結果なのだろう。

週刊新潮 2018年5月3・10日号掲載

特集「『ハーバード』『スタンフォード』に合格者続出! 海外進学塾『ルートH』の秘密プログラム」より

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