翁長知事の病状めぐり… 沖縄知事選“前倒し”攻防

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 20世紀最後の革命家と呼ばれたフィデル・カストロは死の間際まで真の病状を明かすことはなかった。

 今月5日に検査入院した沖縄の革命家、翁長雄志知事(67)がその詳細を語ろうとしなかったのも同じ理由からであろうか。

 県政担当記者によれば、

「7日に退院した後も病状は隠され、10日の知事会見で初めて膵臓に腫瘍があると語ったものの、核心に触れる説明はなかった」

 あくまで癌ではなく“腫瘍”であり根治できると主張した翁長知事。しかし今秋に2期目の選挙を控えた知事の病状を巡っては、当初より情報が錯綜していた。

 さる県政関係者は、

「既に6日には、12年前に全摘した胃癌が再発したとか、ステージ4の末期癌だとか、さらには任期途中で退任も、なんて話まで聞こえてきましたね」

 為政者たるもの、病状には常に憶測が付きまとう。とはいえ、沖縄から遠く離れた永田町の政治部記者の、「重病説を流布しているのは官邸ですよ」という耳打ちには驚きを禁じ得ない。

 思えば4年前に翁長県政が誕生して以来、政府は煮え湯を飲まされ続けてきた。

「知事は未だ埋め立て承認の撤回を諦めておらず、官邸は知事の病状を煽って、何とか県内世論を辞職に誘導したいのです。革新陣営に翁長さんの後任が務まる人物はおらず、勝機があると踏んだのでしょう」

 一方の知事陣営は、敵方から流れる健康不安説の打消しに躍起で、翁長知事の次男で那覇市議の雄治氏も、

「うちは心配いらないときには連絡がなく、僕も父が検査入院したというのは新聞で知ったくらい。家族は誰も心配していませんよ」

 と、平静を装う風。

 先の県政関係者によれば、

「知事を支えてきた『オール沖縄』は共産党色が強まりすぎたことで瓦解寸前です。自民党も相手が翁長でなければと色目を使う人間が複数いて、候補者は容易にはまとまらないでしょう」

 県民置き去りは続く。

週刊新潮 2018年4月26日号掲載

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