一夜で300億円が消えた… “恐怖の金融商品”の後始末

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虎の子が消えた

 かくして、朝起きてみたら“虎の子”が雲散霧消した顧客が続出。証券会社にもクレームが殺到した。

 先の本杉弁護士によると、

「私のところに駆け込んできた被害者の中には、一晩で8000万円以上の損失を出してしまった人や、信用取引で立替金が発生し、巨額の借金を抱え込んでしまった人もいます」

 もっとも、VIXベアの販売資料では、小さく早期償還条項のことに触れてある。リスクは説明済みというわけだ。

 が、実際にはそれも疑わしい、と同弁護士。

「調べてみると、営業マンでさえこの商品の仕組みを知らずにVIXベアを売っていたケースがかなりありました。それも、野村證券をはじめ大手証券会社の営業マンです。だから、早期償還条項についても説明していないケースが多くある。取引そのものが無効になる可能性があります」

 経済評論家の山崎元氏によると、

「元の指標と反対の値動きをする“ベア”の金融商品はカラ売りをするのでハイリスクなのです。大手証券がそんなものを作って一般投資家に売るのはそもそも問題ですよ」

 VIXベアを発行し、販売していた野村ホールディングスに聞くと、

「当社に(顧客から)問い合わせがあることについては把握しております。当社を通じて保有されているお客様に対しては、本件発生後、マーケットの状況や経緯についてご説明をしてまいりました」(グループ広報部)

 すでにアメリカでは同様の金融商品で損失を被った投資家が訴訟を起こしている。「恐怖の商品」を売りつけた代償やいかに。

週刊新潮 2018年4月19日号掲載

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