国会でバカ騒ぎする「偽リベラル」野党の正体 八幡和郎氏の解説

国内新潮45 2018年5月号掲載

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 昨年の総選挙では、立憲民主党を結党した枝野幸男氏らが使った「リベラル」という言葉が大きな注目を集めた。

 そもそもリベラルとは、欧米で生まれた概念で、「個人の自由と権利を求める思想」というのが本来の意味だ。だが、日本では本来の意味を離れ、「憲法9条死守」「安保法制違憲論」といった立場を指し示すときに使われるケースが多い。

 評論家の八幡和郎氏は、「新潮45」2018年5月号で、「立憲民主党など、決して『リベラル』ではない」と語る。八幡氏が解き明かす「偽リベラル」野党の正体とは――。(以下、「国会でバカ騒ぎする『偽リベラル』野党」より抜粋。)

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「偽リベラル」とは、立憲民主党に代表される、本来の言葉の意味から遠く離れているのに「リベラル」という看板を掲げる極左ポピュリスト集団である。それを応援しているのが、朝日新聞をはじめとするマスメディアである。
 この人たちの存在がなぜ困るかと言えば、彼らがアンチ自民勢力のなかで最大勢力であるために、だいたいの国で存在する政権交代の受け皿になる健全な中道左派(社会民主主義や本来の意味のリベラルの総称)が育たないからだ。(中略)

 一世代前には、「リベラル」という言葉が、世界的な常識からかけ離れた意味で使われるということはなかった。
 リベラルとは、自民党のなかで宏池会(旧池田派・現岸田派)など親米的で戦後体制に好意的な勢力をさしていたのだが、いまや、立憲民主党、社民党、共産党とそのシンパのことをいうらしい。
 社民党の福島瑞穂氏は「リベラル・護憲勢力の要として頑張っていきたい」とか、「国会内、民進党内におけるリベラル勢力を絶滅危惧種にしようとしている」と言っているし、山口二郎・法政大学教授はかつて、民主党からのちに希望の党に移ったような人たちを排除して「リベラル純化」しろとか奇妙なことを言っていた。
 枝野幸男氏にいたっては、自分のことをリベラルどころか「リベラル保守」と言い出す始末である。(中略)

「安倍だからダメだーず」

 偽リベラルが困るのは、3分の1の支持があれば満足なものだから極論に流れることだ。「アベノセイダーズ」と呼ばれる現象があって保育園が足りなくても、望む就職先に就職できなくても、五輪で勝てなくても安倍政権のせいにする傾向だが、もうふたつのタイプが登場したようだ。

 まず、「安倍だからダメだーず」だ。同じことをしても、安倍首相だからダメだという輩である。立憲民主党は安倍首相による憲法改正は内容にかかわらず受け付けないらしいが、これでは、国会での議論などやる意味がない。
 安倍昭恵夫人の振る舞いが問題にされるが、鳩山幸夫人が官邸で韓流スターといちゃついてたのはどうなのか。安倍独裁とか安倍一強、安倍官邸恐怖人事とかいうが、官邸機能の強化や各省横断人事は、小泉内閣や民主党政権が強力に推進したものだ。民主党内閣は政治家の質が悪かったから使いこなせなかっただけだ。

「憲法のお陰だーず」も困ったものだ。憲法第9条があるから戦争に巻き込まれないというが、海外に派兵は免れているかもしれないが、日本が戦場にならないためには第9条はマイナスでしかならない。拉致問題が起きたり、韓国ごときに竹島を占領されたり、中国に尖閣で盲動されるのも第9条あればこそである。(中略)

 偽リベラルは、防衛力の向上につながる政策が出ると、徴兵制につながるとキャンペーンを張るが、世界の常識では、徴兵制が伝統的に左派の主張である。保守派は志願兵制(ないし傭兵制)に傾く。そして、志願兵制を維持しようとすれば、装備の近代化、軍務を名誉とする社会的風潮、経済的優遇が必要だが、偽リベラルは全部に反対だから、単に日本の防衛体制が機能しないことをお好みなだけである。(後略)

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 全文は発売中の「新潮45」2018年5月号に掲載。日本の「偽リベラル」の歴史と現状、そしてそれがもたらしている弊害などを、9ページにわたり詳しく解説している。また、この記事とともに同誌では、櫻井よしこ氏が昨今の国会論争を解説する「問題の本質を直視しない いつわりの『安倍潰し国会』」も掲載している。

八幡和郎(やわた・かずお) 評論家・徳島文理大学教授
1951年滋賀県生まれ。東京大学法学部卒。通産省に入り大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任。近著に『「立憲民主党」「朝日新聞」という名の“偽リベラル”』など。