「金融庁長官」てのひら返し サブリース「かぼちゃの馬車」騒動

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スルガを見習え

 実は、この騒動が起きる前、スルガ銀行を“ベストバンク”と持ち上げていたのが、何を隠そう金融庁の森長官だったのだ。昨年5月、森長官は一枚のペーパーを手に地銀や第二地銀の頭取を集めた会合でこうハッパをかけていた。

「地域銀行の多くが人口減で貸し出しに苦しむなかで、データを分析して他行が貸さないところに貸し、継続して高い収益率を挙げている。この特異なビジネスモデルを生み出した銀行を高く評価したい」

 森長官が手にしていたペーパーは、金融庁が作成した地銀と第二地銀の収益力を表すマトリクス表だった。この会に出席したある地銀トップは、

「表の縦軸は利益率で、横軸は利益率の増減幅。4つのマスの右上が“生き残れる銀行”で、左下が“危ない銀行”との解説でした。行名は明記されていませんでしたが、右上にあったのは3行。その最上位がスルガ銀行だったのです」

 17年3月期決算で、スルガ銀行の経常利益は582億2200万円の5期連続で過去最高益を記録。“個人ローンに特化した成果”と、一部経済誌も賛辞を送っていた。

「森長官の発言後、金融庁の幹部が本店を訪れてうちの頭取と面談した際、“おたくもスルガ銀行さんを見習わないと、生き残れませんよ”と、嫌味をいわれたそうです」(第二地銀幹部)

 かぼちゃの馬車のオーナーのなかには、実際の収入を水増しして融資書類を作成されたケースも少なくなかったという。

「書類の改ざんはスマートデイズが行っていたようですが、それをスルガ銀行が見破れないはずがない。被害者の会は、スルガ銀行の貸し手責任の追及も視野に入れています」(先の記者)

 いっそのこと、被害者の会はスルガ銀行を持ち上げた森長官の監督責任も追及したらどうか。

週刊新潮 2018年4月5日号掲載

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