元財務官僚が明かしたパワハラ?的業務「なぜ空は青いのか調べて」
元財務官僚・山口真由氏の明かす「ふしぎな財務省」(2)
佐川前理財局長の証人喚問も終え、財務省への風当たりは強くなる一方だ。
話題の財務省はどんな職場なのか。元財務省キャリアで現在は弁護士、テレビコメンテーターとしても活躍中の山口真由氏の著書『いいエリート、わるいエリート』からさらに見てみよう(以下、引用は同書より)。
財務省は激務であることはよく伝えられる。女性であっても特別扱いはないようだ。
「夜は上司よりも早く帰るということは、決してしてはいけないことです。10時を過ぎても、午前0時を過ぎても、ずっと仕事を続けます。
『お先に失礼します』
という言葉をフロアで耳にすることがないのは、上司や先輩よりも『お先に失礼』することはないからです。
当然ながら、終電で帰れることなどまずありません。夕食は財務省の地下のコンビニのおにぎりですませていました。
あまりにコンビニに通い詰めたので、あるときは、コンビニごはんに体が拒否反応を示すようになったほどです」
さすがに泊まりの場合、仮眠室は男女別だったが、布団はいつも湿っていてカビ臭かったという。さらに厄介なのは入浴だ。午前3時を過ぎると浴室の使用は不可。
「でも、仕事が3時を回ることはしょっちゅうで、特に国会の会期中は、夜中3時を過ぎても答弁を準備するための仕事が続いていることは珍しくありません。
そんな日は仕方がないので、給湯室の流しで髪を洗います。流しの蛇口からはお湯は出ないので、冬でも冷水です」
なぜ空は青いのか
深夜までの仕事が予算や国会答弁に関係したものならばまだわかりやすいが、意味不明の理不尽な仕事が降ってくることもあった。ハーバート出身の超エリートだった山口氏の上司は、夜中に謎の疑問をぶつけてくることが頻繁だったという。
「小豆は赤いのに、こしあんが黒いのはなぜだろう。いますぐ調べてくれないか」
「なぜ歳をとると髪が白くなるのか、調べて」
「なぜ空は青いのか、調べて」
これらの疑問が、とてつもなく忙しい、しかも疲れ切っていて早く帰りたいときに降ってくるのだ。真意はいまだに謎だが、山口氏はこう推察している。
「上司は私に意地悪をしているわけではなさそうでした。むしろ善意だったのかもしれません。『財務官僚として、どんなことでも常に人を説得できるストーリーを作るトレーニング』を、私に課していたのではないかと思います」
もちろん、単なる意地悪だった可能性も否定はできないのだが、そう思わなければあまりにも理不尽で、意味不明な指示ばかりだったのだという。