ウクライナに敗北「ハリルジャパン」1分1敗も結果にこだわる必要なし

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手の内をさらす必要はない

 話はマリ戦に戻る。この試合にはコロンビア、セネガル、ポーランドの代表スタッフが日本サッカー協会を通じ、視察の打診があった。日本協会も対戦相手の試合を視察しているだけに、OKを出したという。そんな彼らにとって、マリ戦の日本はほとんど参考にならなかったことは想像に難くない。

 W杯の戦いはすでに始まっているのだ。そこで手の内をさらす必要はない。そう思うと、4年前のブラジルW杯では、直前の米国タンパでのテストマッチでコスタリカに3-1、ザンビアに4-3と快勝したものの、ザック・ジャパンはあまりにも簡単に手の内をさらけ出してしまったのかもしれない。直前の2試合の好結果に、選手はもちろんファン・サポーターも自信を深め、過度の期待を抱いてしまった可能性がある。

 2010年の南アW杯前のテストマッチは韓国に0-2、イングランドに1-2、コートジボワールに0-2など4連敗を喫した。右サイドハーフは中村俊輔と本田がポジション争いをしていたものの、中村は負傷が癒えず、さらに結果が出ないことで、岡田武史監督は本田を0トップ、阿部勇樹をアンカーに置く守備的な布陣を採用した。結果的に日本はベスト16に進出。苦肉の策が功を奏したことになる。

 そのことは長友佑都も覚えていて、「10年の時は全然ダメで、でも突破できた。14年の時はポジティブだったけど結果を残せなかった。いまは1人1人が危機感を持っているし、いい形で進める。(不安要素を)逆転する要素が揃っている」と前向きな姿勢を貫いた。

 最後にGK川島永嗣が現在の状況を的確に言い当てたので、彼のコメントを紹介しておこう。

「よく10年と14年の比較をされるけど、僕たちが向かっているのは18年。どちらかのスタイル、考え方でやったらうまくいく保証なんて何もない。答えを探し求めるのが、自分たちの役割です」

六川亨
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。『サッカーダイジェスト』の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後『CALCIO2002』、『プレミアシップマガジン』、『サッカーズ』の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

週刊新潮WEB取材班

2018年3月28日掲載

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