志願者急増の「医学部」 その学費、将来性についての最新研究

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年収750万円の家庭でも

 まず、国公立大学の場合は、6年間の授業料が330万円ほどで、入学金の30万円を加えても360万円程度。学費がネックになることはない。一方、私立は埼玉医科大や北里大が3900万円、金沢医科大と岡山県の川崎医科大が4000万円を超えるなど高額なところも少なくないが、

「08年、順天堂大が2090万円(当時)と、慶大の2200万円、東京慈恵会医科大の2250万円を下回る学費に設定し、人気を集めると、昭和大や日本医科大など追随する医学部が増えました。昨春新設された国際医療福祉大は6年間で1850万円です。現在、10の大学で3000万円を切っています」(同)

 むろん、それでも高額だが、工夫の余地は多いという。寿FPコンサルティングの高橋成壽氏が言う。

「私大医学部でも特待生制度などを利用すれば、国公立と同レベルかそれ以下になることもありますが、それは超難関の狭き門。一方、学費は必ずしも安くなくても、地域枠を利用できることがあります。たとえば東京都であれば、都と提携している順天堂、慈恵会、杏林の医学部にはそれぞれ5〜10人の東京枠があり、卒業後9年間、都の指定する医療機関で働くことを条件に、学費の全額と生活費720万円を、返還不要で支給してくれるのです」

 東京だけの話ではない。

「ほかの自治体にも同様の制度が設けられている。また、東京都では卒業後3年間、指定医療機関で働くことを条件に、5、6年次に月額30万円を支給してもらえる制度などもあります」

 こうした恩恵にあずかることができなかったとしても、まだ手はある。

「一般には日本学生支援機構の第二種奨学金と、教育ローンを利用する場合が多いと思います。第二種奨学金は利息が付きますが所得制限が緩く、私大医学部の場合、最高で月額16万円を借りられ、6年間で1152万円。学費2000万円台の医学部なら半分近くを賄えます。返還義務がありますが、医師免許取得後、本業とは別のバイト診療などで返済額を返すのは、それほど難しくないといいます。そして残りは、教育ローンで賄ってもいい。ただ、上限が1000万円程度に設定されていることが多く、返済を考えると、それくらいが限界だと思います」

 そして、こう結ぶのだ。

「私大医学部でも学費が2000万円台前半の大学があり、それも一度に必要ではなく6年間で分割して支払うということ、奨学金や教育ローンを利用できること、などの知識があれば、世帯年収750万円のサラリーマン家庭でも、私大医学部に進学させることは夢ではありません」

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