「将棋」と「囲碁」子どもにやらせるならどっち? 高齢者のボケ防止にも効果アリ

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前頭葉の活性化

 まず認知機能の低下抑制には、「高齢期から新しいことにチャレンジする」ことが大切だとされるが、

「将棋や囲碁を始めると、強くなればなるほど新しい一手を習得する必要が出てきます。特に囲碁は、石をどこに打ってもよい。ルールが簡単なので認知機能の衰えた人でも始めやすいのです。また広い碁盤のどこに石を打つかと考えるだけで、意思決定力と空間把握力が鍛えられます」(同)

 3年前から飯塚氏らのチームは、神奈川県内の老人ホームで認知症の疑いのある高齢者を対象に、囲碁教室を開き実証実験を行った。MRIを使った研究報告によれば、囲碁を打つと脳の中で注意力、思考力などを担う前頭前野や、空間認知機能に関係する前頂葉が活性化したというのである。

「医学的効果は、他の方の研究報告も含め未だ明らかになっていない部分が多いのですが、認知症予防に有効である可能性が示唆されていると思っています」(同)

 さらに飯塚氏は、囲碁や将棋が年齢や肩書きに関係なく、誰もが交流できる点に注目しているとし、

「人と交流する機会がある人は、ない人に比べて認知症の発症率が低いという報告例が多くあるので、我々は都内の小学校を借りて放課後に子どもとお年寄りが囲碁で交流するプログラムを実施しました。対局を通じて相手の言葉や仕草などを読み取れば認知機能は旺盛になりますし、人に会うためにお出かけすることは、ちょっとした運動にもなって気分が晴れるなど精神面にも良い影響を及ぼします。楽しんで継続することが予防の第一歩ですね」

 まずは“孫の手”を借りることから始めてみたい。

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