ボンカレー50周年「知名度90%超」CMのないロングセラー商品の意外な悩み

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健康対応と海外進出

 今後の50年を支えるキーワードは、まず健康需要への対応だ。16年から「マイサイズ いいね!プラス」シリーズを発売している。「塩分が気になる方の欧風カレー」、「たんぱく質を摂りたい方のキーマカレー」という具合だ。大塚グループの医薬品関連部門と連携し、医療機関や調剤薬局などの協力も得ている。老若男女に愛される商品らしく、しっかりと超高齢社会にも対応しているわけだ。

 更に海外進出も進めている。03年に上海で現地法人を設立した。日本製のボンカレーは検疫の関係などで中国国内では販売できない。味も現地化させる必要がある。そのため上海に工場を建設して生産を行っている。

「中国の方々は、カレーライスを全く食べたことがない人が少なくありません。味を理解してもらうのは大変でしたが、近年になって手応えを掴んできました。ゆくゆくは中国を足がかりとして、広範なアジア圏でボンカレーの現地製造販売が実現できればと考えています」(同・広報室)

 ボンカレーの味は何度もマイナーチェンジを繰り返している。日本人の味覚が変化すれば、しっかりとキャッチアップしてきた。これもベストセラーの秘密だろう。ところが、沖縄県民だけはボンカレーの“改善”を許さず、68年に新発売されたボンカレーの味をいまだに愛し続けている。

 そこで50周年を記念して「ボンカレー50」が発売されている。沖縄限定版と同じ発売当初の味を守り、野菜と牛肉のボリュームは増加。更に電子レンジにも対応したという新商品だ。

「昔の味を知っている方は一口で『あ、これだ。子供の時に食べた味だ』と懐かしがって下さいます。ルーの色は黄色が強く、いわゆる給食のカレーのイメージです。50周年の商品ですが、期間限定ではなく、通常のラインナップに組み込んで販売しています」(同・製品部)

 50年間、ボンカレーは世相と共に移り変わってきた。次の目標は2068年の100周年となる。それに向けての積み重ねでも、日本社会を映す“鏡”となるに違いない。

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週刊新潮WEB取材班

2018年2月12日掲載

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