嫌老社会で「被差別高齢者」にならないためのサバイバル術 和田秀樹が説く

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高齢者の能力を活かせる仕事

 では、どうやって働き続ければよいか。実は、高齢者の能力を活かせる仕事はたくさんある。

 私が尊敬する、「失敗学」の提唱者で東大名誉教授の畑村洋太郎先生は、「日本の会社は、社長などの重役を退いた人が相談役に就いているが、機能していない。むしろ、定年退職した熟練工などを相談役にしたらどうか」と提案していた。

 私も同意見だ。定年退職者が“本当の相談役”として、人間関係から技術面に至るまでの相談を受ける長老のようなポジションを担えばいい。現に都内にはシニアの人材派遣を行う「高齢社」という会社もある。高齢者が対象の転職サイトがあれば、中小企業などのニーズがあるはずだ。

 日本の人口の3割近くを占める高齢者の消費を促すためにも、商品開発に高齢者の意見を反映したらどうだろう。コンビニのお惣菜の味見に高齢者のモニターを雇ってもいい。また、駅にエスカレーターが一つしかない場合、上りのみのことが大半だが、高齢者は下りの階段に使う筋力が低下していて、下りのほうが怖い。高齢者の特性を踏まえたニーズを掘り起こせば、企業の利益につながるはずで、そのために高齢者を活用したほうがいいのだ。

 だが、こうした職場の創出は、一朝一夕にできるものではない。そこで、いまなにをすべきかだが、一つは資格を取ることだ。

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