市販のカレールー、するめはご法度… 隠れ動脈硬化を防ぐ「一無二少三多」とは

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1日1合の晩酌で「善玉コレステロール」を増やす

 一方、総合内科専門医の秋津壽男医師は、

「最近、食べた後に中性脂肪が異常に増える食後高脂血症が問題になっていますが、これは食べ方を変えるだけでも予防できます。ゆっくりとよく噛み、野菜や汁物を先に食べ、炭水化物は最後に摂ることで小腸でのコレステロール吸収を抑えることができる。早食いやドカ食いは禁物です」

 そう指摘しつつ、

「2012年の京都大学の研究で、トマトに中性脂肪を減らす働きがある成分が含まれていると判明しました。魚介類をトマトやオリーブなどと一緒に白ワインと水で煮込むアクアパッツァを食べれば、一挙両得というわけです」

 続けて何と、

「動脈硬化の予防では、LDL(悪玉コレステロール)の値を下げるよりHDL(善玉)の値を上げる方が効果的だと言われています。ところが現在、HDLの値を上げる方法は1つしか分かっていません。それは少量のアルコール摂取です。ワインであれば小さいグラスで2杯程度、むしろ毎日飲む方が体に良いのです」

 日本生活習慣病予防協会の池田義雄理事長も、こう言うのだ。

「過度な飲酒は中性脂肪を増加させますが、1日のアルコール摂取量を純アルコール換算で20グラムという適正範囲内に収めればよいのです。日本酒なら1合、ビールは中瓶1本、ウイスキーはダブル1杯。焼酎なら5勺に止めれば問題ありません」

 食事とともに生活改善の“両輪”をなすのは運動である。池田理事長によれば、

「少しきついと感じるくらいの強度、具体的には1分間の脈拍が220から年齢を引いて0・6を掛けた値になる程度で、歩行など有酸素運動を1日40分ほどこなすといいでしょう」

 とのことで、先の秋津医師も、

「その運動をしながら会話ができるくらいの余力がある強度が目安です。つまり呼吸がしっかりできるレベル。テニスやマラソンは無理でもウオーキングはできます。歩くのなら1日6000〜1万歩、水中歩行であれば30分程度が適当だと思います」

 あわせて、就寝中の“ケア”もあなどれないという。

「人間は、冬でも就寝中に500mlの汗をかきます。体内は水分不足となり、血液もドロドロになってしまいがちなので、寝床に水を置き、寝る前に1杯。途中で目覚めて1杯、そして起床時に1杯。これが血栓防止につながります」(同)

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