藤田まこと、阿藤快の命を奪った「隠れ動脈硬化」 “元凶”・脂質異常のしくみ

ライフ週刊新潮 2017年10月19日号掲載

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 脳梗塞や心筋梗塞、大動脈瘤などを引き起こす動脈硬化は、知らぬ間に身体を蝕んでいくサイレントキラーである。

 血液中のコレステロールや中性脂肪など余分な脂質が酸化し、血管の壁に溜まると「プラーク」という塊ができる。これが肥大化して血液の流れが悪くなると、動脈硬化の始まりである。

 2015年に俳優の阿藤快が大動脈瘤破裂胸腔内出血で、また13年にはミュージシャンの大滝詠一が解離性動脈瘤で死去。さらに10年には、藤田まことが大動脈瘤破裂で命を落としている。病の引き金とみられるのは、いずれも“隠れ動脈硬化”であった。

 現在の基準では、血液中の悪玉コレステロール(LDL)が140mg/dl以上、善玉(HDL)が40mg/dl未満、中性脂肪150mg/dl以上のうち、いずれかに該当すれば「脂質異常症」と診断される。厚労省の調査によれば、治療中の患者は国内に206万人。が、実際に当てはまる“隠れ患者”は、2000万人を超えるという。

「LDLの値が300mg/dlとなっても、自覚症状は通常ありません」

 とは、りんくう総合医療センターの山下静也院長だ。

「脳梗塞や心筋梗塞、大動脈瘤の直接の原因は動脈硬化で、それらの疾患はすべてLDLの数値と密接に関係することが多くの研究から分かっています。医療の進歩で死亡率が下がったとはいえ、今も心筋梗塞では約30%が病院到着前に亡くなり、治療を受けた人も約5~10%が亡くなります。LDL値が80mg/dl未満の群に比べ、140mg/dl以上だと心筋梗塞のリスクは約2・8倍になるとの研究もある。また、足の血流の減少により、少し歩いただけでふくらはぎ等に痛みを感じる『閉塞性動脈硬化症』も、原因は同じ。最悪の場合は切断するケースもあります」

 脳から足先まで、動脈硬化は全身に疾患をもたらす。その根本原因となり得るのが脂質異常症なのである。

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